好きが伝われ


莉玖君が歩夏のお財布を見つけ出した。

草村に投げ捨てられてて、中身は抜かれてる。
だけど本体は無事に戻ってきたみたい。



「はい。どうぞ」

歩夏はお財布を受け取ると、本当に泣き出した。

「うぅ…あ、ありがとぉ〜、皆ぁ」

「もー!見つかって良かった!」

歩夏に思わず抱きつく。



なんかこっちまで感動してきた。

汗流して探しててよかったぁ。



「これからは気をつけろよ」

「そうそう。まぁ盗む方が悪いんだけどね」

翔太も莉玖君も、歩夏のこと心配してくれて。
この4人で仲良くなれて、本当に良かったって。心から思う。



「さて!財布も見つかったし、花火やるっしょ!」

さっきの冷静な莉玖君とは思えないほどはしゃぎ出した。

メリハリがすごい。



浜辺に戻って花火を出す。



「いい?行くよっ」

歩夏が打ち上げ花火に火をつける。


3秒くらいして、ヒュンと空に上がる。



小さいけど空にキラキラと咲く花火。

「すごーい!」

「こんな小さいので、いちいちはしゃぐな」


翔太は手持ち花火をブンブン振り回しながら言ってくる。

…結構自分もはしゃいでますやん。


「いいじゃん!心が綺麗だからこんな小さい花火でも感動できるんだし」

「でけぇ花火見たら感動しすぎて死んじゃうんじゃねぇの?」

「かもね〜」


翔太の持ってる花火からもらい火しよっと。

「花火…行く?」

シュッ、、

「え?」

もらい火する前に、翔太の花火が消える。

かすかに聞こえた声。


でもそれは確かに、私を花火に誘ってた。


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