好きが伝われ




あ~、暑い。

まだまだ、夏は長いなぁ。


「紫衣~?今日は出かけるの~?」

お母さんに聞かれる。

「ううん。出かけないよ」



出かける予定なんて、一切無い。

そもそも、あったらもっとわくわくしてるし。


「あら、そうなの?花火にでも行くと思ったのに」


花火…かぁ



海に行ったあの日を思い出す。

『花火…行く?』

翔太はそういって誘ってくれた。


本当は私だって行きたかった。

花火も見たかったし、翔太とも久しぶりに行きたかった。



でも、歩夏が翔太を好きだと言った。

それなら、私は応援するのが筋だよ。だって友達だし。


でも、ずっと出かけないのもなぁ。


とりあえず、駅まで行こう。


家を出て、駅まで行く。

時刻は午後3時。


もうすでに、花火を行く人も駅にいる。


屋台も出てるから、浴衣を着た人もたくさん。

いいな、浴衣。


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