好きが伝われ

伊賀さんは私の背中を押す。


「なんか食べたいものある?」

「え!いや…」

「遠慮しないでいいから。」

「り、りんごあめ…」


い、言ってしまったぁ!!

「うんっ、食べよ!」

すごく優しい笑顔で、笑ってくれた。


りんごあめの屋台について、お金まで払ってくれた。


「こ、こんな。いいんですか?」

「いい…あぁ!その前に。俺のこと名前で呼んでくれない?」

条件つけてきたっ!


「い、言えないですよ~。知り合ってまだ二回目ですよ?」

「回数は関係ないでしょ。りんごあめ食べたくないの?」

ぬぅ・・・た、食べたい。


スゥッと息を吸い込む。

「恒樹さん!!りんごあめ!!」

勢いつけすぎて、片言になっちゃった。


「プッ…クク。はい、よくできました」

目の前にりんごあめが現れる。

なんか恒樹さん笑ってるし。


恒樹さんって言うの、違和感しかない。

ま、でも言えたことだし、戻す必要もないか。


「美味しい?りんごあめ」

「美味しいです!あ、食べます?」

「あ、ううん。平気。あ、俺焼きそばでも食おうかな」


恒樹さんが、人混みの奥にある焼きそばの屋台に向かおうとする。

え、はぐれちゃうっ


「あ、ごめん。手つないでてくれる?はぐれちゃったら困るし。

手が無理なら、俺のどこかに掴まっててくれればいいし。」

どこかに掴まるって言われても…


恒樹さんお財布と携帯以外持ってないし。

服、だと伸びちゃうよね?


もう!


諦めて恒樹さんの手を握る。

「なにそれ…可愛すぎ。」

「へぇっ!?」


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