好きが伝われ
「紫衣ちゃん、それじゃ落ちちゃうよ?」
「え?あ、そっか」
バイクに乗るときはしっかり掴まらないとね。
恒樹さんの腰に腕を回す。
「素直なんだね。よしっ行くよ~」
ブォーンと音を立てて走り出す。
想像してたより早くて、腕を回す力が強くなってた。
どこに行くんだろう。
時々信号で止まる度に、大丈夫?って聞いてくる恒樹さん。
心配性だなぁ。ありがたいけどさ。
バイクが静かに止まる。
あたりは暗くて、よく見えない。
「行こ?」
早々とバイクを降りて、私に手を貸してくれた。
「どこ行くんですか?こんな暗いところ…」
人気もなし、怖い。
「俺がいるから何があっても平気。まぁ、何も無いけどね」
「は、はぁ。」