好きが伝われ


「ほんとだ…ね…紫衣ちゃん?」

「はい?」

「なんで。」


恒樹さんの手が私の頬に触れる。

「泣くほど辛いのか…?」


泣く?私が?


そう言われてやっと気づいた。

なんか目が熱い。泣く時の熱さだ。



なんで、泣いてんだろ私は。


「なんで泣いてるんですか?私」

恒樹さんに聞いたってわかるわけないのに。


「んー。好きだからじゃない?」

「へ?」

「ちゃんと考えてみて?泣いた原因をさ」


私をよしよしと撫でて、恒樹さんはまた空を見上げた。



花火見てて、綺麗で、楽しくて…


でもなぜか翔太の顔を思い出して。

その横には、歩夏がいる。彼女として。


今まで通りにはならない。登下校も。

家に行くことも。
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