好きが伝われ
本当は歩夏を応援したい。心から。
なのに、それができない私が嫌だ。
なんでできないのか?
そんなの…決まってる。
翔太と一緒にいたいから。
誰かに…取られたくない。
「私は…好きなんです。翔太のことが」
恒樹さんは少し笑って頷く。
「うん。知ってる。でも俺も好きだから、紫衣ちゃんのこと」
恒樹さんは私のほっぺをつねって言ってくる。
…はい!?
「な、な。今なんて!?」
「俺は紫衣ちゃんが好き。」
「えぇ!??そ、そんなの聞いてないですよぉ!」
「えー?俺、今日すっごいわかりやすーく好きアピールしたよ?」
…む、そ、そういえば言われていたかもしれない。
その時はそんな深く考えないし、
「まぁ、俺は紫衣ちゃんの気持ちを第1に考える。だから、もし塩谷が好きで告白して上手くいくならそれでも構わない。」
「恒樹さん…」
「紫衣ちゃんには考える時間がいるだろうし。俺は待つよ。」
恒樹さんの心の広さに、驚かされる。
きっと他の人だったら好きな人が第一優先だと言っても、
自分以外の誰かと付き合うのを認めることなんてできない。