好きが伝われ
「…紫衣はいっつもそう。私を無駄に過大評価する。
本音で話してくれたって言ったけど…それだけじゃん。なのに…なんでそこまで私をよく言えるの?」
「え?」
歩夏はカフェオレを飲む。
過大評価なんてしてないよ、私。
「私は紫衣が思ってるほどいい人なんかじゃない。ずるいし、自分さえよければいいって思ってる。」
怒りなのか、悔しさなのか、歩夏の肩が揺れてる。
「あんたみたいに真っ直ぐ素直なやつに褒められると…私、虚しくなるんだ…」
歩夏は、泣いてた。
怒りでも悔しさでもない。
虚しさ、悲しさ。
「私はずっと知ってた。紫衣が翔太の事が好きな事。
幼なじみの関係だけじゃない。ちゃんと恋愛感情は紫衣は気づいてないだけで芽生えてた」
「でもじゃあ、なんで花火の時」
「紫衣が友達思いだってわかってたから、あの時言った。好きだって言えば、諦めてくれるって思ったから」
そういう、ことだったのか。
「案の定。紫衣は遠慮してた。花火だって結局行かなかったでしょ?」
「うん…」