好きが伝われ
「これ次どこ行けばいいわけ?」
「…いない。ごめん塩谷」
「は?どういうことだよ」
…こうでもしなきゃ、何も始まらなかった。
「塩谷、私はあんたが好き。だから、」
「それはできない。悪い、小野」
そんなの、最初から…わかってたよ。
ばか。塩谷のバカ。
「じゃあ、今日だけ、この時間だけ。私と付き合ってよ」
「…わかった」
ーーー
それがあの時見た二人だったんだ。
私は付き合ってるんだって思ってたのに。
「幻滅したでしょ?友達としていらないと思った?」
泣きながら、自分の裾をぎゅっと掴む。
「何言ってんの!私、過大評価も無駄に褒めてもないよ。全部本当のことだし、私はすごいと思うから褒める。
人間だったら嫉妬とかそういうずるいとこがあって当然じゃん、そんなんわかってるよ」
そうだよ。
歩夏は、このことに関してずるくて嫌な奴だって自分を思ってるかもしれないけど。
私はこんな歩夏も、勇気があってすごいって思ってしまう。
だって、私は好きな人がいても言わないで、何も起こそうとしない。
「私は、そういう歩夏も含めて友達としてやっていきたい!
今までは、どこかお互い壁がないようであったけど、それも全部なくして。」