好きが伝われ


「あ、大園と塩谷だな」

職員室のドアをノックしようと思ったら、後ろから声をかけられる。

「待ってた待ってた」


浦安は書類をたくさん持って、職員室に入る。

「そっちの相談室入ってて」


私たちは黙ってそちらに向かう。

相談室って、私たち問題児扱い?



相談室の中には椅子が何個か置かれていて、私たちはそれに座る。

「待たせたな。」

すぐに浦安が入ってきた。



「まず、塩谷にはこれ」

浦安が翔太に渡したのは、一枚の紙。

「今まで俺が出した宿題、一枚も出してないから。それ一枚だけやったら、勘弁してやる」

「は?こんなの誰がやるかよ」

「俺の見立てじゃ、塩谷はやればできる残念男。
思春期のガキじゃあるまいし、いちいち教師に逆らうのって疲れんだろ?」



うわ、完全に論破だ。
浦安ってば大人げなくない?

「はい、次は大園。寝るときはもっとばれないように。他の授業でも寝てるから、先生たちの間で人気者だ。

あんなグーグー寝られたら、困るし。」

「は、はぁ」

「俺の見立てじゃ、勉強は不得意だが頑張る気力はあるようだし
あとは、寝ないように気をつけることだな」


さっきから、見立てとやらが当たりすぎてて笑いそうなんだけど。


「はい、今日はこれで終わり。異論はあるか?」

「ない」

「よし、じゃ気をつけて帰るんだぞ。」


私たちは、相談室を出て帰路につく。
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