好きが伝われ
「紫衣…」
翔太が私を呼ぶのを無視してトイレに駆け込む。
フラれた私には、翔太と帰るなんて出来なくて1人でトイレにこもってた。
はぁ、こうしてトイレに何分くらいいるんだろ…
30分くらいかな?
早く帰らなくちゃ。
いい加減諦めてトイレから出ると
「あ、紫衣ちゃん!」
そこには恒樹さんが。
な、なんと悪いタイミング。
恒樹さんには知られたくない、フラれたこと。
「まだ帰らないの?」
「あ、今から帰ろうかと…」
「そういえば、塩谷のことさっき見た。帰ってたけど…今日は一緒に帰らないんだ?」
ギクッ
す、鋭い。恒樹さん鋭いよ…
「えーっ、あぁ!今日はお互い忙しかったから何かと」
「え?花火一緒に見たんじゃないの?」
「あ、見ました、ってあれ?なんで知ってるんですか!?」
「フフッ、そんなに驚かなくても。」
綺麗な顔して笑う恒樹さん。
「凛花に聞いたんだ」
凛花って…神浜さん?
でも、なんで知ってたんだろ。私たちが花火見ること。