好きが伝われ
「さ、どこ行く?」
「え?あ~、」
考えてなかった。どうしよう。
「恒樹さんお腹は空いていますか?」
「うん!あ、じゃあなんか食べるか~」
そういえばこの前、歩夏にあのお店がおすすめって…
「あのお店はどうですか?」
「いいね、行こ!」
恒樹さんはニコニコしながらそのお店の方向に向かう。
私もおいて行かれないように頑張って歩く。
「へぇ、ここ雰囲気がいいね」
恒樹さんは席に座るとあたりを見渡してそういう。
確かに。すこし喫茶店っぽいっていうか、アンティークが多くてすごく落ち着く。
うまく会話が続くか心配だったけど、恒樹さんが話し上手で会話は途切れなかった。
「美味しかったですね!」
「ほんと。紫衣ちゃんのおかげで美味しいもの食べれちゃった」
「いや、そんなことないですよー」
それに褒め上手。
お世辞なのに、お世辞に聞こえない。