好きが伝われ
「あれれ、そうだったかな。じゃあ、無理矢理連れて行っちゃうぞ~」
あざとい…なのに可愛いなんて。
この世は不公平にもほどがある。
はぁ、なんかこれ以上聞いてられる気がしない。
そう思って、教室を出る。
胸のあたりが、ズキズキ痛む。
あぁ、まだ好きなんだって実感しちゃうよ。
実感なんてしたくないのに。
私はもうフラれた側だもん。
ふらふら歩いてると、トンど誰かにぶつかる。
「あ、すみません」
「朝から俺のこといろんな意味でドキドキさせるね」
その声…上に目線を上げると恒樹さんが。
慌てて離れる。
「はは、そんなに焦らなくてもいいのに。ていうかむしろ、俺が来てよかったと思うけど?」
「へ?」