好きが伝われ
訳が分からずにいると、恒樹さんは朝から綺麗な笑顔を見せて笑う。
「紫衣ちゃんぼーっとしすぎ。俺が来てなかったら落ちてましたよ?」
恒樹さんは地面を指さして、今いる場所をアピールする。
恒樹さんがいる場所は、三階に上がるための階段の踊り場。
しかも、一番上。
恒樹さんが私の前に来なかったら、もしかしたら落ちてたかも?!
そう思うと、少しひやっとした。
「ま、そのおかげで紫衣ちゃんにくっついてもらったし、いいけどね」
意地悪な顔で私を見てくる。
意地悪な顔か…
翔太もたまにやってたなぁ。
神浜さんとデートしたら、そういう顔も見せるのかな?
して欲しくない、なぁ。
「…紫衣ちゃん、元気ないね。どうかした?」
「あ、いや。なんでもないですよ!
それより、よく見たら汗かいてますね。走ってきたんですか?」