好きが伝われ
「紫衣が思ってるほど、天使じゃないかもよ?
だいたい恋する女は、悪魔より怖いっての」
よく分からないけど、歩夏は神浜さんがあまり好きじゃないってことだよね。
神浜さんの話するのやめよう。
でも、なんか。
もしかして、みんなに見せつけてるとか?
いやいや、神浜さんに限ってそんなことあるわけ無いか。
「しーいちゃん」
急に後ろから抱きつかれて、私は一瞬固まってしまう。
「え!紫衣ってば、伊賀さんとそういう関係!?」
「ち、違う違う!」
必死に離れようとするけど、身動きが全然とれない。
「今は違うだけだもんね?あ、小野ちゃんだよね?ちょっと紫衣ちゃんのこと借りちゃうけどいい?」
歩夏、ダメって言ってくれるよね?
「あ、もちろん。それにちょうどいいタイミングですしね」
「あ、歩夏~」
「グッドラック!」
歩夏は親指を立てて教室に戻っていく。
とほほ。恒樹さんってば自分の人気を分かっていながら、何で学校で会いに来るの?
私、先輩から恨まれるよね。