暴走族の天使〜紡ぐ言葉を聴きたくて〜
詩side

星竜の姫になる事になりました!

そして今更に姫になるにあたっての

注意事項などなどを聞いています!

もちろん、分かりやすく説明してくれるのは
奏です

「僕たちが承認してるから心配はないと思うんだけど、僕たち以外の下っ端にも挨拶をして認めて貰わないといけないんだ。

まぁ、詩ちゃんなら誰も文句は無いと思うけどね!

そしてそこで下っ端からも承認がおりれば、正式な星竜の姫になれるんだ。

ここまでは大丈夫かな?」

笑顔の奏に、うんうんと大きく頷いた

そうだよね…

星竜はみんなだけの居場所じゃないんだから

そこの一員になるには下っ端さんと

呼ばれる人達からもオッケーを頂かないといけないんだね

頑張らなくちゃ!

拳を握って気合い入れている私に

みんなが温かい目で見てくれてる事に

全く気付かなかった

それから…と奏が真剣な表情を浮かべたから私も奏を真っ直ぐ見つめて聞く体勢に

「さっきも話した通り、暴走族には
危険は付き物。
喧嘩を仕掛けて来られたり、仲間が
傷付けられたり…

それから今から話すのは姫になる詩ちゃんにとって、とても大事な事だがらね。

まず、どんな些細なことでも
1人きりでの行動は絶対しないこと。
これは他の族が詩ちゃんに危害を加えるだけじゃなくて、誘拐して人質にする事もある。

もちろん、そんな事がないように
僕たちは全力を尽くすけど、不意をついたりして狙ってくる危険な族もいるから
1人きりにはならないこと!」

私には暴走族の世界はまだまだ

分からない事がたくさんある

だから、奏の言葉はしっかりと

頭に入れて置かなきゃいけない

うん、絶対に1人きりでの行動はダメ!!

何よりみんなに心配かけたくないもの…

それにしても誘拐とか人質とか

なんだか物騒な暴走族もいるんだなぁ…

奏言ってたもんね、地位欲しさに

喧嘩を仕掛けてくるって

どうして真っ直ぐ正面から

向かって来ないんだろうなぁ…

そんな事して、もし勝てたとしても

心から喜ぶなんて出来ないのに

少し悲しいな…

そんな事を考える私に奏の話は続く

「それから学校の送迎は僕たちのバイクか
専用の車になるんだ。
だから、行きも帰りも誰かが迎えに来るまで
外には出ちゃ駄目だよ?

少し窮屈に感じることもあると思うけど
1人きりでなければお出掛けしても
大丈夫だから。
もし、立川さんと2人でお出掛けするって
なったら必ず誰かに報告してね。
離れたところから護衛を付けることになるけどね。

それから、学校内外問わず僕たちのファンの女の子達から、嫌がらせを受けるかもしれないんだ。
女の子だからって気を抜かないで欲しい。
どこかの族のスパイかもしれないし。

あと最後に…
放課後、余程の用事がなければ
僕たちの倉庫に来て欲しい。

以上だけど分からない事はある?」

うん、大体の事は分かった!

首が取れそうなくらいに大きく頷いた

ーカキカキカキ

≪分かった!
お出掛けしたい時は事前に連絡しておく事!
絶対に1人きりでの行動はダメ!
送迎はみんながしてくれる!
女の子にも要注意!
放課後は倉庫に行く!

私、必ず守ります!≫

ノートを見せ、返却されたノートを

地面に落とした

そして、みんなに向かって小指を立てて

大きく頷いてみせた

するとみんなが小指を出してくれて

指切りげんまん!!

みんなに嘘をつくのも

針千本は飲むこともしたくないから

必ず守るからね!

笑顔で頷いた

その日のうちに律に話そうとしたけど

まだ下っ端さんからのオッケーが

出てないから姫になることは

まだ秘密にしておいた

そしてその日の放課後ー

星竜の倉庫に行くことになって

今駐輪場なんだけど…

誰が私を乗せるかで揉めてるの

う〜ん、なんで?

私は誰でもいいんだけどな〜

安全運転であれば!

…というか私バイクに乗るの初めてだ

背が低いから上手に乗れるかなぁ?

そうこうしてるうちに結局は

じゃんけんで決めたみたい

最初からそうしてれば良かったんじゃ?って思ったけど、私はお口にチャック!

そもそも話せないしね!

で、誰のに乗ることになったの?

みんなを見上げると一足先に輪を

抜けたのは北斗だ

バイクの前に立って、おいでおいでをする

北斗に小走りで近付いた

うわぁ〜すっごく大きい!

しかも北斗にぴったりの真っ黒なバイク

側面には金色の細いラインが入ってて

なんだか流れ星みたい

ジッと眺めていると頭上から北斗の声

「乗せてやるからバンザイしてみ」

北斗の言う通りにバンザイしたら

突然持ち上げられて、びっくり!!

後部座席に座るも車体が大きすぎて

跨ぎきれない〜!

こんな時足が長ければ良かったのに

私の足…残念トホホだよ

思わず眉をひそめると

顎に手を置いて首を傾げ何か

考え中の北斗さん

やっぱり足が短いって思ってる!?

詩…ガックシ…

マイナスオーラぷんぷんの私の耳に

聞こえてきたのは北斗のとんでも発言!

「詩を乗せるんだから安全運転は
必須だが、これだと俺の腰に手を回しても
後ろが気になって集中出来ねぇ…

よし、俺と同じ運転席に乗って
横抱きして乗せるか」

えっ!?運転席??

しかも横抱きとは??

頭の中でぐるぐる回る疑問が解決する前に

北斗の言う通りにしてみたら…

あら、びっくり!!

すっごく安定してて乗りやすい!

北斗頭いい〜!!

思わず拍手しちゃった

「こら、手を離すな。
ちゃんと俺に引っ付いてろよ」

大きく頷いて、引っ付いた

そして、後ろからすっごく騒がしい声を

聞きながら、いざ!倉庫へ出発だ〜!

北斗の運転は本当に安全運転で

しかも春の暖かな風がすごく

気持ち良かったの!

風を感じるってこういう事なのかも

しれない

それに北斗にぴったり引っ付いてると

すごく安心できる

北斗の心臓がトクトクと音を立てて

眠い時には子守唄になりそう!

そんなこんなで無事に倉庫へ

到着しました!

北斗が私を片腕に抱えて倉庫に

入るや否や…

「「「こんにちは!!!」」」

すっごく元気な挨拶でお出迎えしてくれたのは、きっと奏が話してた下っ端さん達だ

北斗の腕の上からだけど

見渡す限りの人、人、人!!

しかもとってもカラフルで

見てるだけで楽しい〜!!

ここがみんなの居場所…

綺麗に掃除されててゴミなんて

ひとつも落ちてないし

バイクも綺麗に並べてある

窓も床も階段も全部綺麗!!

それだけでここを大切にしてる事が

分かるよ

興味津々にキョロキョロする私に

「ここが俺達星竜の倉庫で
大切な居場所だ、気に入ったか」

北斗に尋ねられて私は笑顔で頷いた

そしたら北斗も少し笑ってくれたの!

自分の大切な物や人を同じように

大切に思ってくれたら、それは

すっごく嬉しいことだって

私知ってる

だから私にとってもここは

これからの私の大切な場所になる

そして、ここにいる全ての人達も…





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