暴走族の天使〜紡ぐ言葉を聴きたくて〜
奏side
北斗を含めた幹部全員が揃った幹部室には
今までにないほどの重い空気が立ちこめてる
錬の腕の中で泣き疲れた詩ちゃんは
今もまだ目を覚まさない
さっきまでは元気だったはずなのに…
総長室へ行った後に何かがあったはずなんだ
「北斗…詩ちゃんと喧嘩でもしたの?
総長室に行くまでは元気だったんだ…
だから、北斗との間で何かあったんだとしたら
僕はその理由が知りたい」
僕の話を聞く北斗はスヤスヤと眠る詩ちゃんに
視線を送りながら呟いた
「いや、喧嘩なんてしてねぇよ…
部屋に俺は居たけど、詩は来てない」
「喧嘩じゃないんだ…
でも可笑しいよ、詩ちゃんは北斗がどこにいるかを
僕達に聞いて、その後すぐに総長室に行ったから。
だけど、数分後には泣いてた…
本当に覚えはないの?」
「そうだよ〜!ほんの数分前までは元気だった!
だけど変だよね…
総長室に行ったはずなのに北斗は
会ってないんでしょ〜?
なのに、詩ちゃんは辛そうに泣いてた…
この数分間に何があったんだろう?」
首を捻る奈留に冬も錬も頷いた
あんなに元気な笑顔だったのに辛そうに泣いて
そして何より、いつものようにキラキラした
綺麗な青い瞳の奥は光を失ってた
奈留の言う通り、部屋に向かった後に
何かが詩ちゃんをこうさせてしまったと
考えるのが普通だ
「間違いなく北斗の所へ行ったはずだけど
北斗が会ってないんだとしたら…
入らなかった…っていう可能性があると思う。
もしくは、入れなかったか…
一応聞くけど北斗は部屋で何かしてたの?」
「お前らには言ってなかったけど昨日詩に告った。
そん時に俺への気持ちが恋愛としての
気持ちかが分からないから返事は保留中だけど
好きだとは思ってくれてたみてぇだから
嬉しくて詩の事考えてたな。
あー、そん時穂花から電話があって
少し話したか……」
「え〜!?告白ぅ〜!?
って姫にしたんだから当たり前かぁ…」
北斗の言葉に驚くのも分かるけど
姫にしたんだから当たり前だよ、奈留
もちらん僕は北斗が詩ちゃんを好きなのは
探して欲しいって頼まれた時から分かってたけどね
だけど、そっか…
詩ちゃんも北斗が好きなんだ…
なんとなく、そうなる事は分かってたけど
少し複雑だな
というか、穂花と電話してたって…
もしかして?
「北斗、穂花と電話してたって言ったよね?
もしかして…また例の件で?」
「あぁ、最近までなかったのに
また始まったみてぇだ。
何とか落ち着かせたけど…
それから、穂花は落ち着くまで此処で
寝泊まりさせる」
北斗の言葉で確信した
詩ちゃんはきっと北斗の電話を聞いて
部屋に入る事が出来なかったんだ
穂花を落ち着かせる為の僕ら2人にとっては
合言葉みたいなものでも
理由を知らない人から聞けば…ましてや
好きな人が自分以外にその言葉を呟いたら
ショックを受けるはずだ
だとしたら詩ちゃんのあの辛そうに泣く姿は
納得出来るね
泣くほど好きって事だから…
僕も好きだったんだけどなぁ、詩ちゃん
誰にでも一線を引いて心を開いた事のない
僕が人生で初めて好きになれた女の子
誰にでも優しくて包み込むような笑顔と
見返りなんて求めない無償の愛情が
星竜全体を変えた
此処に居るみんなもきっと同じ気持ちなはず…
女の子嫌いな奈留も、人間不信な冬も
見た目で判断されて辛い思いをした錬も
口には出さなくても、きっとみんな
詩ちゃんが好きなんだ
だけど北斗が詩ちゃんを大切に想う気持ちが
分かるから胸にしまって2人の幸せを
願ってたけど、まさかこのタイミングで
こんな事になるなんて…
きっと詩ちゃんは北斗に気持ちを伝える為に
北斗の所へ行ったはずなのに
きっとあの合言葉を聞いてショックを受けたんだ
「北斗、穂花を落ち着かせる為の合言葉を
使ったんじゃない?
それを詩ちゃんは…部屋に入る前に聞いて
しまったと思う」
僕の言葉に驚き、言葉を失った北斗を見て確信した
だけどね、北斗…
いくら穂花を落ち着かせる為でも
その言葉は本当に好きな子が出来たら
使うべきではなかった
しかも、落ち着くまで此処に寝泊まりさせるなんて
詩ちゃんはきっと不安がるよ
いくら言葉で尽くしても行動が伴わなければ
意味がないから…
穂花が此処に来てしまったら
絶対に北斗にべったりになるから
たとえ理由が分かっていても
きっと辛い思いをするはず
北斗は気付いてないかもしれないけど
穂花は昔から北斗が好きだから
北斗の気持ちが詩ちゃんに向いてるって
分かれば何をするか分からない
僕ら2人の穂花を落ち着かせる為の合言葉を
穂花は本気だと思ってるからね
だけど詩ちゃんが大切なら此処に寝泊まりさせるのは、詩ちゃんにとっては酷なことだよ…
考え込んでいる中、錬の言葉が重く響いた
「さっきから2人で話進めてるみてぇだけど
その穂花って子の事とか、合言葉とか
寝泊まりさせるとか…
俺らには説明無しか?
それに、その合言葉を聞いて詩が泣いたんだとしたら俺は賛成出来ないぞ。
そこにどんな理由があったとしても」
錬の言葉に奈留も同調した
「僕もどんな理由があったとしても
此処にその子が来るのは賛成出来ないよ。
いくら総長の北斗の言葉でもね…
それに…詩ちゃんが泣くのは
もう見たくないよ」
錬の腕の中で眠る詩ちゃんを悲しそうに
見つめながら呟くように語る奈留の瞳は
さっきの詩ちゃんの悲痛な姿を思い出してるのかもしれない
「…俺も…そう思う。
詩の笑顔…見れないのは…嫌だ」
普段からあまり話さない冬も同じ気持ちなんだ
僕もそう思うよ…
どんな理由があったとしても
大切な人から笑顔を奪いたくない
ましてやそれが好きな子なら…
「僕も皆んなと同じ気持ちだよ。
それに今回はそれで落ち着かせる事が出来ても
また同じことが起きれば同じことの繰り返しで
根本的な解決にはならないよ、北斗…
詩ちゃんが大切なら此処に穂花を連れて来るのは
賛成出来ない。
僕にとって詩ちゃんは姫であり
大切な子だから…」
僕の言葉に目を見開いた北斗は
此処に居るみんなが詩ちゃんが大切で
好きだと気付いたと思う
言葉を発することが出来ないでいる北斗を
横目に僕は穂花の事をみんなに話した
それを聞いてそれぞれに思うことがあるだろうけど
みんなの瞳は詩ちゃんに注がれてる
その目からは同様の決意が見て取れた
それは、どんな理由があったとしても
詩ちゃんを悲しませることになるなら
守って見せるという強い気持ちだ
北斗、これを見ても穂花を優先させるの?
僕は詩ちゃんを優先させるよ…
北斗を含めた幹部全員が揃った幹部室には
今までにないほどの重い空気が立ちこめてる
錬の腕の中で泣き疲れた詩ちゃんは
今もまだ目を覚まさない
さっきまでは元気だったはずなのに…
総長室へ行った後に何かがあったはずなんだ
「北斗…詩ちゃんと喧嘩でもしたの?
総長室に行くまでは元気だったんだ…
だから、北斗との間で何かあったんだとしたら
僕はその理由が知りたい」
僕の話を聞く北斗はスヤスヤと眠る詩ちゃんに
視線を送りながら呟いた
「いや、喧嘩なんてしてねぇよ…
部屋に俺は居たけど、詩は来てない」
「喧嘩じゃないんだ…
でも可笑しいよ、詩ちゃんは北斗がどこにいるかを
僕達に聞いて、その後すぐに総長室に行ったから。
だけど、数分後には泣いてた…
本当に覚えはないの?」
「そうだよ〜!ほんの数分前までは元気だった!
だけど変だよね…
総長室に行ったはずなのに北斗は
会ってないんでしょ〜?
なのに、詩ちゃんは辛そうに泣いてた…
この数分間に何があったんだろう?」
首を捻る奈留に冬も錬も頷いた
あんなに元気な笑顔だったのに辛そうに泣いて
そして何より、いつものようにキラキラした
綺麗な青い瞳の奥は光を失ってた
奈留の言う通り、部屋に向かった後に
何かが詩ちゃんをこうさせてしまったと
考えるのが普通だ
「間違いなく北斗の所へ行ったはずだけど
北斗が会ってないんだとしたら…
入らなかった…っていう可能性があると思う。
もしくは、入れなかったか…
一応聞くけど北斗は部屋で何かしてたの?」
「お前らには言ってなかったけど昨日詩に告った。
そん時に俺への気持ちが恋愛としての
気持ちかが分からないから返事は保留中だけど
好きだとは思ってくれてたみてぇだから
嬉しくて詩の事考えてたな。
あー、そん時穂花から電話があって
少し話したか……」
「え〜!?告白ぅ〜!?
って姫にしたんだから当たり前かぁ…」
北斗の言葉に驚くのも分かるけど
姫にしたんだから当たり前だよ、奈留
もちらん僕は北斗が詩ちゃんを好きなのは
探して欲しいって頼まれた時から分かってたけどね
だけど、そっか…
詩ちゃんも北斗が好きなんだ…
なんとなく、そうなる事は分かってたけど
少し複雑だな
というか、穂花と電話してたって…
もしかして?
「北斗、穂花と電話してたって言ったよね?
もしかして…また例の件で?」
「あぁ、最近までなかったのに
また始まったみてぇだ。
何とか落ち着かせたけど…
それから、穂花は落ち着くまで此処で
寝泊まりさせる」
北斗の言葉で確信した
詩ちゃんはきっと北斗の電話を聞いて
部屋に入る事が出来なかったんだ
穂花を落ち着かせる為の僕ら2人にとっては
合言葉みたいなものでも
理由を知らない人から聞けば…ましてや
好きな人が自分以外にその言葉を呟いたら
ショックを受けるはずだ
だとしたら詩ちゃんのあの辛そうに泣く姿は
納得出来るね
泣くほど好きって事だから…
僕も好きだったんだけどなぁ、詩ちゃん
誰にでも一線を引いて心を開いた事のない
僕が人生で初めて好きになれた女の子
誰にでも優しくて包み込むような笑顔と
見返りなんて求めない無償の愛情が
星竜全体を変えた
此処に居るみんなもきっと同じ気持ちなはず…
女の子嫌いな奈留も、人間不信な冬も
見た目で判断されて辛い思いをした錬も
口には出さなくても、きっとみんな
詩ちゃんが好きなんだ
だけど北斗が詩ちゃんを大切に想う気持ちが
分かるから胸にしまって2人の幸せを
願ってたけど、まさかこのタイミングで
こんな事になるなんて…
きっと詩ちゃんは北斗に気持ちを伝える為に
北斗の所へ行ったはずなのに
きっとあの合言葉を聞いてショックを受けたんだ
「北斗、穂花を落ち着かせる為の合言葉を
使ったんじゃない?
それを詩ちゃんは…部屋に入る前に聞いて
しまったと思う」
僕の言葉に驚き、言葉を失った北斗を見て確信した
だけどね、北斗…
いくら穂花を落ち着かせる為でも
その言葉は本当に好きな子が出来たら
使うべきではなかった
しかも、落ち着くまで此処に寝泊まりさせるなんて
詩ちゃんはきっと不安がるよ
いくら言葉で尽くしても行動が伴わなければ
意味がないから…
穂花が此処に来てしまったら
絶対に北斗にべったりになるから
たとえ理由が分かっていても
きっと辛い思いをするはず
北斗は気付いてないかもしれないけど
穂花は昔から北斗が好きだから
北斗の気持ちが詩ちゃんに向いてるって
分かれば何をするか分からない
僕ら2人の穂花を落ち着かせる為の合言葉を
穂花は本気だと思ってるからね
だけど詩ちゃんが大切なら此処に寝泊まりさせるのは、詩ちゃんにとっては酷なことだよ…
考え込んでいる中、錬の言葉が重く響いた
「さっきから2人で話進めてるみてぇだけど
その穂花って子の事とか、合言葉とか
寝泊まりさせるとか…
俺らには説明無しか?
それに、その合言葉を聞いて詩が泣いたんだとしたら俺は賛成出来ないぞ。
そこにどんな理由があったとしても」
錬の言葉に奈留も同調した
「僕もどんな理由があったとしても
此処にその子が来るのは賛成出来ないよ。
いくら総長の北斗の言葉でもね…
それに…詩ちゃんが泣くのは
もう見たくないよ」
錬の腕の中で眠る詩ちゃんを悲しそうに
見つめながら呟くように語る奈留の瞳は
さっきの詩ちゃんの悲痛な姿を思い出してるのかもしれない
「…俺も…そう思う。
詩の笑顔…見れないのは…嫌だ」
普段からあまり話さない冬も同じ気持ちなんだ
僕もそう思うよ…
どんな理由があったとしても
大切な人から笑顔を奪いたくない
ましてやそれが好きな子なら…
「僕も皆んなと同じ気持ちだよ。
それに今回はそれで落ち着かせる事が出来ても
また同じことが起きれば同じことの繰り返しで
根本的な解決にはならないよ、北斗…
詩ちゃんが大切なら此処に穂花を連れて来るのは
賛成出来ない。
僕にとって詩ちゃんは姫であり
大切な子だから…」
僕の言葉に目を見開いた北斗は
此処に居るみんなが詩ちゃんが大切で
好きだと気付いたと思う
言葉を発することが出来ないでいる北斗を
横目に僕は穂花の事をみんなに話した
それを聞いてそれぞれに思うことがあるだろうけど
みんなの瞳は詩ちゃんに注がれてる
その目からは同様の決意が見て取れた
それは、どんな理由があったとしても
詩ちゃんを悲しませることになるなら
守って見せるという強い気持ちだ
北斗、これを見ても穂花を優先させるの?
僕は詩ちゃんを優先させるよ…