暴走族の天使〜紡ぐ言葉を聴きたくて〜
散らばる気持ち
奏side
北斗からの頼みで穂花の手当てをする為に
総長室まで来たものの…
僕は扉を開ける事に躊躇してしまう
小さい頃からの幼馴染である大切な存在ではある
だけど、穂花の存在が詩ちゃんを苦しめてる現実に
僕は胸が苦しくなる
想いを伝える事は出来ないけれど
好きな人には笑顔でいて欲しい
だから穂花を此処に置いておくのは
非情かもしれないけど叶えてはあげられない
それに穂花自身にもリスクがかかるし
星竜の皆んなにリスクを背負わせることになる
それに1番の懸念は穂花が北斗を好きだという事…
小さい頃からの合言葉で穂花は北斗が自分を
好きだと勘違いしてる
北斗も僕も幼馴染以上の感情は全くない
だからここではっきりと線を引かないと
穂花はワガママ放題だから、間違いなく北斗の
気持ちを知れば、詩ちゃんに敵意を向けるはずだ
そうなれば詩ちゃんは優しいから
最悪、北斗への気持ちを閉ざしてしまう
星竜の皆んなにも…
僕は固い決意を持って扉を開いた
ーガチャッ
「穂花、手当てしに来たよ」
僕に気付いた穂花はニコニコ笑って近付いて来た
「奏くん!ありがとう〜!
やっぱり持つべきものは幼馴染だねぇ!
パパから逃げて来たけど北斗が居ていいって
言ってくれたから、嬉しくて飛んで来ちゃった!」
あの頃は僕も北斗も穂花を守るために
安心させることを最優先に言葉や行動で
落ち着かせてきたけど…
でも、何故だろう?
暴力を振るわれた割にはご機嫌で
昔のように怯えは感じない
それに叔父さんからの暴力がまた始まるなんて
突然すぎて少し疑わしい気がする
「久しぶりだね。
それにしても叔父さんからの暴力をは
いつから?
ここ数年何もなかったのに…
何があったの?
…まぁ、とりあえず手当てしようか」
「うん、ここ1カ月くらいはずっとだよ。
お仕事でイライラしてるのかも…
最初は物に当たるだけだったんだけどね。
あの、でも私も年頃になったから
手当ては奏くんじゃなくて、さっきの部屋に居た
女の子にしてもらいたいの!
脱がないと見せれないところもあるし…」
「なら、病院に行った方がいいんじゃないかな?
あの子は星竜にとって大切な存在だし
姫だから。
穂花には突き放す言い方になるけど
ここは暴走族の倉庫だって知ってるよね?
守る存在が増えるって事は星竜全体が
大きなリスクを背負う事でもあるし
勿論、穂花の安全も保証出来ないんだ。
叔父さんからの暴力からは逃げられても
此処にいればそれ以上の危険に晒される。
北斗からも聞いてると思うけど、あの子は姫で
北斗の大切な人なんだ。
だから、正直言って僕は穂花を歓迎出来ない」
「でもっ!病院に行ったらお父さんが
捕まるかもしれない…
そしたら、その後私はあの家に1人になっちゃう。
だから病院へは行かない。
ワタシには北斗と奏くんしか頼れる人がいないの
知ってるでしょ?
なのに、なんで!?
あの子は他の人がいるけどワタシには2人しか
居ないのに!!
まるでワタシが邪魔者みたいに聞こえるっ!」
穂花の瞳は、怒りに満ちてる
確かに叔父さんが捕まれば、あの家には
穂花1人になるかもしれないけど…
明らかに詩ちゃんに対しての敵意を感じるし
やっぱり此処には置いておけないな
例え幼馴染だとしても詩ちゃんを苦しめる存在は
此処に居て欲しくない
此処に居る以外で対処しないと…
「穂花、あの子はね…
北斗が見つけた大切な存在なんだ。
穂花に対する気持ちは幼馴染としての情で
あの子に対しては、そうじゃないんだ。
星竜にとっても必要な姫だし
あの子にとっても星竜も北斗も特別な存在なんだ。
此処に居る以外の方法で助けられる方法を
探すから、此処に来るのは遠慮して欲しい。
邪魔者とかは思ってないよ?幼馴染だしね。
だけど星竜の副総長としての判断は
姫が最優先で守るべき存在だから。
あの頃とは状況が変わったんだ」
「じゃあ、ワタシも姫にしてよ!
他に方法がないから此処に来たのに
酷いよっ!!
昔はワタシが2人の傍に居たのに…
あの子だけズルイ!!」
はぁ〜、駄目だ…
今の穂花には何を言っても届かない
言えば言うほど詩ちゃんに敵意を向ける
ここは姉さんに頼むしかないかもしれない
姉さんは穂花があまり好きじゃないから
頼んでもオーケーしてもらえるかは分からないけど
頼みこむしかないみたいだね
穂花には悪いけど…
早速連絡してみるか
僕はポケットの中の携帯を取り出して
姉さんに連絡してみた
ープルルルル
数回目のコールの後に聞こえたのは
久しぶりの姉さんの明るい声
『もしもーし!奏、元気にやってる〜?
私はこの電話が鳴る前まではご機嫌だったけど
内容が分かってるから一気にテンションが
だだ下がりよ〜!
どうせまた、幼馴染ちゃんのお世話でも
頼みたいとか言うんでしょう?
本音は嫌で仕方ないけど、可愛い弟の為なら
仕方なくお世話行くわぁ……
で?何処に行けばいいのかしらぁ?」
「元気だよ、忙しいのにいきなりで
申し訳ないんだけど……倉庫に来れるかな?
詳しい事は来てから話すよ」
『了解よ!30分くらいで着くようにするから!
まぁ、とにかく急いで行くわ。
また後でね〜』
ハァ〜と溜め息をついてしまう状況だ
でも看護師の姉さんが診察兼治療をしてくれたら
穂花の言葉が真実かどうかがハッキリする
疑いたくはないけど、北斗率いる星竜に
姫が出来たのを聞いて此処に来てるのだとしたら
さっきの言動は間違いなく詩ちゃんへの嫉妬と
考えたくもないが問題を起こしそうで
頭が痛くなる
とにかく姉さんが来るまでは仕方ないけど
此処に居てもらおう
詩ちゃんへの接触は少しでも避けたいからね
「もうすぐ姉さんが来るから
それまでは此処から出ないでね。
星竜の関係者じゃない穂花が倉庫を彷徨くと
下っ端も動揺するし…
何より怪我してるんだし大人しくしてなよ。
治療が必要なくらい痛むんでしょ?
姉さんが到着したら、また来るよ」
「奏くん、傍に居てくれないの?
穂花1人だと心細いよ…
奏くんが無理なら北斗呼んでくれない?」
出たよ、ワガママ…
世界が自分中心に回ってると思ってる感じは
本当に昔から変わらないな
だけど、此処に居る以上はそれは聞けない
「北斗は今忙しいんだ。
だから、穂花は此処でジッとしててくれる?
星竜総長としてこれからの事を話し合わないと
いけないのに待たせてるから
早く戻らないといけない。
じゃあ、また後でね」
顔を真っ赤にして頬を膨らませる穂花を
一瞥して総長室を後にした
北斗からの頼みで穂花の手当てをする為に
総長室まで来たものの…
僕は扉を開ける事に躊躇してしまう
小さい頃からの幼馴染である大切な存在ではある
だけど、穂花の存在が詩ちゃんを苦しめてる現実に
僕は胸が苦しくなる
想いを伝える事は出来ないけれど
好きな人には笑顔でいて欲しい
だから穂花を此処に置いておくのは
非情かもしれないけど叶えてはあげられない
それに穂花自身にもリスクがかかるし
星竜の皆んなにリスクを背負わせることになる
それに1番の懸念は穂花が北斗を好きだという事…
小さい頃からの合言葉で穂花は北斗が自分を
好きだと勘違いしてる
北斗も僕も幼馴染以上の感情は全くない
だからここではっきりと線を引かないと
穂花はワガママ放題だから、間違いなく北斗の
気持ちを知れば、詩ちゃんに敵意を向けるはずだ
そうなれば詩ちゃんは優しいから
最悪、北斗への気持ちを閉ざしてしまう
星竜の皆んなにも…
僕は固い決意を持って扉を開いた
ーガチャッ
「穂花、手当てしに来たよ」
僕に気付いた穂花はニコニコ笑って近付いて来た
「奏くん!ありがとう〜!
やっぱり持つべきものは幼馴染だねぇ!
パパから逃げて来たけど北斗が居ていいって
言ってくれたから、嬉しくて飛んで来ちゃった!」
あの頃は僕も北斗も穂花を守るために
安心させることを最優先に言葉や行動で
落ち着かせてきたけど…
でも、何故だろう?
暴力を振るわれた割にはご機嫌で
昔のように怯えは感じない
それに叔父さんからの暴力がまた始まるなんて
突然すぎて少し疑わしい気がする
「久しぶりだね。
それにしても叔父さんからの暴力をは
いつから?
ここ数年何もなかったのに…
何があったの?
…まぁ、とりあえず手当てしようか」
「うん、ここ1カ月くらいはずっとだよ。
お仕事でイライラしてるのかも…
最初は物に当たるだけだったんだけどね。
あの、でも私も年頃になったから
手当ては奏くんじゃなくて、さっきの部屋に居た
女の子にしてもらいたいの!
脱がないと見せれないところもあるし…」
「なら、病院に行った方がいいんじゃないかな?
あの子は星竜にとって大切な存在だし
姫だから。
穂花には突き放す言い方になるけど
ここは暴走族の倉庫だって知ってるよね?
守る存在が増えるって事は星竜全体が
大きなリスクを背負う事でもあるし
勿論、穂花の安全も保証出来ないんだ。
叔父さんからの暴力からは逃げられても
此処にいればそれ以上の危険に晒される。
北斗からも聞いてると思うけど、あの子は姫で
北斗の大切な人なんだ。
だから、正直言って僕は穂花を歓迎出来ない」
「でもっ!病院に行ったらお父さんが
捕まるかもしれない…
そしたら、その後私はあの家に1人になっちゃう。
だから病院へは行かない。
ワタシには北斗と奏くんしか頼れる人がいないの
知ってるでしょ?
なのに、なんで!?
あの子は他の人がいるけどワタシには2人しか
居ないのに!!
まるでワタシが邪魔者みたいに聞こえるっ!」
穂花の瞳は、怒りに満ちてる
確かに叔父さんが捕まれば、あの家には
穂花1人になるかもしれないけど…
明らかに詩ちゃんに対しての敵意を感じるし
やっぱり此処には置いておけないな
例え幼馴染だとしても詩ちゃんを苦しめる存在は
此処に居て欲しくない
此処に居る以外で対処しないと…
「穂花、あの子はね…
北斗が見つけた大切な存在なんだ。
穂花に対する気持ちは幼馴染としての情で
あの子に対しては、そうじゃないんだ。
星竜にとっても必要な姫だし
あの子にとっても星竜も北斗も特別な存在なんだ。
此処に居る以外の方法で助けられる方法を
探すから、此処に来るのは遠慮して欲しい。
邪魔者とかは思ってないよ?幼馴染だしね。
だけど星竜の副総長としての判断は
姫が最優先で守るべき存在だから。
あの頃とは状況が変わったんだ」
「じゃあ、ワタシも姫にしてよ!
他に方法がないから此処に来たのに
酷いよっ!!
昔はワタシが2人の傍に居たのに…
あの子だけズルイ!!」
はぁ〜、駄目だ…
今の穂花には何を言っても届かない
言えば言うほど詩ちゃんに敵意を向ける
ここは姉さんに頼むしかないかもしれない
姉さんは穂花があまり好きじゃないから
頼んでもオーケーしてもらえるかは分からないけど
頼みこむしかないみたいだね
穂花には悪いけど…
早速連絡してみるか
僕はポケットの中の携帯を取り出して
姉さんに連絡してみた
ープルルルル
数回目のコールの後に聞こえたのは
久しぶりの姉さんの明るい声
『もしもーし!奏、元気にやってる〜?
私はこの電話が鳴る前まではご機嫌だったけど
内容が分かってるから一気にテンションが
だだ下がりよ〜!
どうせまた、幼馴染ちゃんのお世話でも
頼みたいとか言うんでしょう?
本音は嫌で仕方ないけど、可愛い弟の為なら
仕方なくお世話行くわぁ……
で?何処に行けばいいのかしらぁ?」
「元気だよ、忙しいのにいきなりで
申し訳ないんだけど……倉庫に来れるかな?
詳しい事は来てから話すよ」
『了解よ!30分くらいで着くようにするから!
まぁ、とにかく急いで行くわ。
また後でね〜』
ハァ〜と溜め息をついてしまう状況だ
でも看護師の姉さんが診察兼治療をしてくれたら
穂花の言葉が真実かどうかがハッキリする
疑いたくはないけど、北斗率いる星竜に
姫が出来たのを聞いて此処に来てるのだとしたら
さっきの言動は間違いなく詩ちゃんへの嫉妬と
考えたくもないが問題を起こしそうで
頭が痛くなる
とにかく姉さんが来るまでは仕方ないけど
此処に居てもらおう
詩ちゃんへの接触は少しでも避けたいからね
「もうすぐ姉さんが来るから
それまでは此処から出ないでね。
星竜の関係者じゃない穂花が倉庫を彷徨くと
下っ端も動揺するし…
何より怪我してるんだし大人しくしてなよ。
治療が必要なくらい痛むんでしょ?
姉さんが到着したら、また来るよ」
「奏くん、傍に居てくれないの?
穂花1人だと心細いよ…
奏くんが無理なら北斗呼んでくれない?」
出たよ、ワガママ…
世界が自分中心に回ってると思ってる感じは
本当に昔から変わらないな
だけど、此処に居る以上はそれは聞けない
「北斗は今忙しいんだ。
だから、穂花は此処でジッとしててくれる?
星竜総長としてこれからの事を話し合わないと
いけないのに待たせてるから
早く戻らないといけない。
じゃあ、また後でね」
顔を真っ赤にして頬を膨らませる穂花を
一瞥して総長室を後にした