今が思い出にならないために。
遠いあの人

海のあるまち

夏が過ぎ、涼しい風が吹くようになってきた。
久々に地元に帰り一人緑の中を歩く。

私はここより北の地方にある大学でこの地域特有の資源を利用した研究をしている。

来年度から、ここから四時間は離れた街の大学で研究を行うために引っ越すことになった。

緊張はするけれど、そこはとても海のきれいな、私の大好きな街だから、わくわくする。


そういえば…。
その街には知り合いがいる。でも、ここ最近連絡は取れていない。

最後に私が送信したはずなのに、返信は来ていない。


しかし彼は確かに、私が通うことになる大学院に進むと言っていた。
もしもこのまま出くわしたりしたら気まずい。

私は一応、ひとこと送ることにした。
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