今が思い出にならないために。
私は研究室を見学するため例の大学へと向かった。
そこでは学生や教授と様々なやりとりをした。

研究内容や考えが合致していて、私もここで研究したいという気持ちが強くなった。それを叶えるには、試験を突破しなくてはいけない。

貰った過去問を読む分には今まで自分の大学で習った分野が多い。頑張ればなんとかなりそうだ。
でも、あまり自信がなかったので勉強しながら受験するかを考えることにした。


そして私は彼にメッセージを送った。

[受験しようかなって、本格的に考え始めてる!]

すぐに既読がついた。しかし、返信はなかった。



結局、そのまま受験を向かえ、どうにか無事に合格出来たのだが、卒業研究の忙しさが最高潮であった。


合格を喜ぶ間も無かったが、彼と同じ大学院に行くことになるなら、礼儀としてその事を知らせる必要があると思った。
相変わらず前に送ったメッセージに返信はないが、私は一言送ることにした。

[合格しました。]

しかし、そのメッセージは読まれることすらなかった。


卒業論文提出やパワポ作成、卒論発表会は嵐のように過ぎていき、無事に卒業出来て…

新天地に移動したての今。






彼ともう二度と会えないことを知ったのだ。




確かに、確実に、彼は私の近くに存在していたのに…
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