今が思い出にならないために。
『えっ…』


そのあとの会話は、よく覚えていない。それほど衝撃的だった。

まさか、もう二度と会えないなんて…
新年度早々、私は家に帰り、真っ暗な部屋で一人、立ち尽くす。

メッセージを見返すと、教授いわく体調が優れなかったという頃から、最近にかけて徐々に返信が遅くなり、返信がこなくなり、既読すらつかなくなっている。

これが、何となく彼がいなくなったことを実感させた。

本当は、教授が良く似た名前の人などと勘違いしている、事実ではない、そう思いたかった。

涙が溢れてはこぼれる。


私は彼に特別な感情を抱いていたのだ。それは遠い高校時代の話だが、今でも心のどこかに渦巻いていたのかもしれない。

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