この声がキミに届くのなら
何も言わず、ただ静かに撫で続けた。
わたしを抱きしめる彼の体はあたたかくて、人のぬくもりを初めて感じた。
こんなにあったかいんだ。
生きてるんだ、わたし。
そう思ってまた涙が溢れてくる。
どれくらい泣いたのか。
もうすっかり空は暗くなっていた。
「どう…?落ち着いた?」
優しい彼の問いかけに、わたしは頷いた。
「何があったか知らないけど、もうこんなことすんなよ。」
軽く頭をぽんぽんされた。
その言葉には頷くことが出来ないわたし。
その代わりに蒼太くんを思い出してしまった。