Smile  Again  〜本当の気持ち〜
自転車通学の悠と、校門で別れた私は急いで、家に戻ると、挨拶もそこそこにお母さんに尋ねた。


「ねぇ、お母さん。塚原さんち、こっちに戻って来たの?」


「さぁ?どうしたの、帰って来て早々。」


「うん、学校で聡志らしい子を見かけたんだ。暗くて、はっきりとは見えなかったんだけど。」


「そうなの?でも今年は年賀状も来なかったからねぇ。こちらから出したのは、戻って来てないから、引っ越してはいないと思うけど。」


そうなんだ、年賀状来なかったんだ・・・。


でも、もう戻って来られないからと、わざわざ家を処分して、引っ越して行ったのに、わずか3年で、結局戻って来るなんてことがあるのかな?


だとしたら、やっぱりあれは私の見間違い・・・?


なんともモヤモヤが晴れないままの一夜を過ごした私は、学校で確かめるしかないと、家を出た。


駅を降りて、自然と早足になっていた私のモヤモヤは、校門に入ろうとした時、アッサリと解決した。


だって、反対側から無表情で歩いて来たのは紛れもなく・・・


(聡志!)


だけど、聡志は私の顔を見ても、表情1つ変えずに


「よう。」


と言ったきり、足も止めず、校門を入って行く。慌てて私は追いかけて、聡志と肩を並べる。


「久しぶり。」


「ああ。」


「いつ、帰って来たの?こっちに。」


「先月、急遽決まって。」


私の方を見ようともせずに面倒くさそうに答える聡志。


「おじさんやおばさんはお元気?」


「まぁな。」


歩みを止める気配もない聡志は


「聡志は何組なの?」


「B組。」


そうぶっきらぼうに言い捨てると、これ以上追いすがるのを諦めて、立ち止まった私を尻目に、さっさと歩いて行ってしまった・・・。
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