Smile Again 〜本当の気持ち〜
「聡志の言う通りだよ。」
「由夏・・・。」
「白鳥先輩をあんな風にして、誰も責任取らないなんて、絶対におかしいよ。さすが、私の幼なじみ、って言われても嬉しくないか。」
「・・・。」
「とにかく、あんな野球部、辞めちゃえ、辞めちゃえ。どうせ松本先輩達が抜けて、もう先の見込みもないんだから。」
「ちょっと待て、そりゃどういう意味だ?」
聞き捨てならない言葉を発した由夏に、俺は思わず、声を荒らげる。
「えっ、だってそうじゃん。現に、秋の県大会だって初戦負けでしょ。沖田くんと白鳥先輩じゃ、月とスッポンだし、仁村くんが、どんなにいい打者か知らないけど、松本先輩の代わりなんて、おこがましいよ。責任を取らないだけじゃなくて、聡志を外して、道原くんをレギュラーにするなんて、監督も大したことないし・・・。」
「ちょっとお前、いい加減にしろ。お前に何がわかるんだよ!」
堪りかねて、俺は由夏を怒鳴りつける。
「聡志、何怒ってんの?」
今度は由夏がキョトンとしてるが、俺は構わず続ける。
「言いたいこと、言ってんじゃねぇよ。確かに3年生達は偉大だったよ。でも今年の春も夏も、あの人達だけの力で勝ったんじゃねぇよ。秋はチームがまとまらなったから、負けちまったけど、あんなもんで終わるチームじゃない。見くびるなよ!」
「でも、聡志は辞めちゃうんでしょ?」
興奮気味にまくしたてる俺に、冷静にツッコむ由夏。思わず絶句してしまった俺に、由夏は微笑んだ。
「聡志は優しいな。でも、そんなに自分を責めちゃダメだよ。1人で責任背負い込んじゃダメだよ。そんな風に自分を追い詰めた挙げ句に、聡志が本当に野球を辞めちゃったら、今度は白鳥先輩が自分を責めることになっちゃうんじゃないかな?」
「由夏・・・。」
「お前に何がわかるって、また言われちゃうかもしれないけど、白鳥先輩は聡志が野球を辞めることなんて、望んでないと思うよ、絶対に。」
そう言って、まっすぐに俺を見る由夏。俺は、その瞳に吸い込まれそうになる。
「聡志は野球辞めちゃダメだよ。って言うか、辞めてほしくない、幼なじみ・・・じゃなくて、元幼なじみとしては。」
「全く辞めろって言ったり、辞めるなって言ったり、ワケわかんねぇ奴だな。わかったよ、もう1度、考えてみる。」
ぶっきらぼうに答える俺。だけど本当は答えなんか決まってる、俺は野球を辞めたくないし、辞められない。
売り言葉に買い言葉みたいになって、あんなことを言っちまったけど、実は言った次の瞬間から、後悔してたんだ。
「あっ、そ。じゃ、この辺で私は消えます。元幼なじみがいつまでも、ウロウロしてると目障りだろうから。じゃあね。」
こいつ、何気にこの間のこと、根に持ってるよな。ま、仕方ないけど・・・。
俺にヒラヒラと手を振ると、由夏は俺に背を向けた。
「由夏。」
そんなあいつの後ろ姿に、俺は思わず、声を掛けていた。
「なに?」
振り向いた由夏の姿がまぶしくて、俺は視線をそらしてしまう。
「き、気をつけて帰れよ。」
「大丈夫、子供じゃないんだから。」
そう言うと由夏は、今度こそ、歩き出す。
ありがとう、って言う素直な気持ちを口に出せないヘタレの俺は、せめてもの償いとして、見えなくなるまで、由夏の後ろ姿を見送っていた。
「由夏・・・。」
「白鳥先輩をあんな風にして、誰も責任取らないなんて、絶対におかしいよ。さすが、私の幼なじみ、って言われても嬉しくないか。」
「・・・。」
「とにかく、あんな野球部、辞めちゃえ、辞めちゃえ。どうせ松本先輩達が抜けて、もう先の見込みもないんだから。」
「ちょっと待て、そりゃどういう意味だ?」
聞き捨てならない言葉を発した由夏に、俺は思わず、声を荒らげる。
「えっ、だってそうじゃん。現に、秋の県大会だって初戦負けでしょ。沖田くんと白鳥先輩じゃ、月とスッポンだし、仁村くんが、どんなにいい打者か知らないけど、松本先輩の代わりなんて、おこがましいよ。責任を取らないだけじゃなくて、聡志を外して、道原くんをレギュラーにするなんて、監督も大したことないし・・・。」
「ちょっとお前、いい加減にしろ。お前に何がわかるんだよ!」
堪りかねて、俺は由夏を怒鳴りつける。
「聡志、何怒ってんの?」
今度は由夏がキョトンとしてるが、俺は構わず続ける。
「言いたいこと、言ってんじゃねぇよ。確かに3年生達は偉大だったよ。でも今年の春も夏も、あの人達だけの力で勝ったんじゃねぇよ。秋はチームがまとまらなったから、負けちまったけど、あんなもんで終わるチームじゃない。見くびるなよ!」
「でも、聡志は辞めちゃうんでしょ?」
興奮気味にまくしたてる俺に、冷静にツッコむ由夏。思わず絶句してしまった俺に、由夏は微笑んだ。
「聡志は優しいな。でも、そんなに自分を責めちゃダメだよ。1人で責任背負い込んじゃダメだよ。そんな風に自分を追い詰めた挙げ句に、聡志が本当に野球を辞めちゃったら、今度は白鳥先輩が自分を責めることになっちゃうんじゃないかな?」
「由夏・・・。」
「お前に何がわかるって、また言われちゃうかもしれないけど、白鳥先輩は聡志が野球を辞めることなんて、望んでないと思うよ、絶対に。」
そう言って、まっすぐに俺を見る由夏。俺は、その瞳に吸い込まれそうになる。
「聡志は野球辞めちゃダメだよ。って言うか、辞めてほしくない、幼なじみ・・・じゃなくて、元幼なじみとしては。」
「全く辞めろって言ったり、辞めるなって言ったり、ワケわかんねぇ奴だな。わかったよ、もう1度、考えてみる。」
ぶっきらぼうに答える俺。だけど本当は答えなんか決まってる、俺は野球を辞めたくないし、辞められない。
売り言葉に買い言葉みたいになって、あんなことを言っちまったけど、実は言った次の瞬間から、後悔してたんだ。
「あっ、そ。じゃ、この辺で私は消えます。元幼なじみがいつまでも、ウロウロしてると目障りだろうから。じゃあね。」
こいつ、何気にこの間のこと、根に持ってるよな。ま、仕方ないけど・・・。
俺にヒラヒラと手を振ると、由夏は俺に背を向けた。
「由夏。」
そんなあいつの後ろ姿に、俺は思わず、声を掛けていた。
「なに?」
振り向いた由夏の姿がまぶしくて、俺は視線をそらしてしまう。
「き、気をつけて帰れよ。」
「大丈夫、子供じゃないんだから。」
そう言うと由夏は、今度こそ、歩き出す。
ありがとう、って言う素直な気持ちを口に出せないヘタレの俺は、せめてもの償いとして、見えなくなるまで、由夏の後ろ姿を見送っていた。