Smile  Again  〜本当の気持ち〜
(行っちゃった・・・。)


久しぶりに会ったのに、聞きたいことも話したいこともいっぱいあったのに、声を掛けられるのも迷惑だと、言わんばかりの態度で、あいつは行ってしまった。


(やっぱり嫌われてるんだな、私・・・。)


あいつの名前は塚原聡志(つかはらさとし)。聡志との出会いは生後3ヶ月の時・・・って当然記憶はないけど。


私達はお互いのお母さんに抱っこされて、スヤスヤと眠っていたはずだ。そう、いわゆる「公園デビュー」。


ご近所さんだった我が岩武家と塚原家は、こうして親しくなり、私達2人は、まるできょうだいのように、仲良く育った。


つまり私達は「幼なじみ」っていうわけ。


幼稚園も小学校も当たり前のように仲良く一緒に通い、当たり前のようにお互いの家を行き来し、お風呂だって一緒によく入ってた。


それがある日を境に突然、当たり前じゃなくなった。


聡志は私を避け始め、一緒に登校するのはもちろん、学校で私が話しかけるのも、嫌がるようになった。


なぜ、急にそんな態度を聡志がとるのか、私には理由が全くわからなかった。その理由を聞きたくても、聡志はもはや私を寄せ付けようともしない。小学校3年生の2学期が始まってから、すぐのことだった。


結局、そのまま私達は疎遠になり、修復されないまま、お父さんの転勤で、小学校卒業と同時に聡志は、仙台に引っ越して行ってしまった。


(やっぱり、あのままなんだね・・・。)


私は力なく、歩き出した。
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