Smile Again 〜本当の気持ち〜
「おい、何を始める気だよ?」
俺の行動に、道原のみならず、みんな面食らってる。
「ご覧の通りだ。さ、行くぜ。」
神にそう答えると、俺は道原を促した。どうする?道原が指示を仰ぐように、神を見ると、奴は黙って頷いた。それを見て、道原も位置につく。
俺の左手にはいつものキャッチャーミットじゃなく、昔使っていたグローブ。久しぶりに引っ張り出して来た、懐かしい感触だ。
「さぁ、行くぜ。」
そう言うと俺は、ゆっくり振りかぶった。
「いいフォームだ。」
神が呟く声が耳に入る中、俺は第一球を投げ込んだ。
「ほぅ。」
周りから、思わず感嘆の声が上がる。俺の投げた球は自分でもほれぼれするくらいに、道原のミットに完璧なスピードとコントロールで吸い込まれて行った。
「へぇ、4年ぶりにしちゃ、結構いい球行くじゃねぇか。さ、続けて行くぜ。」
それから俺はしばらく投げ込んだ。周りはそんな俺のピッチングを息を飲んで見つめている。30球程投げて、ひと息つくと、途端に周りが騒ぎ出した。
「塚原、スゲェじゃん。」
「俺よりストレート、よっぽど速いぜ。」
神が、沖田が驚いたように声を上げる。
「塚原さん、やっと投げてくれたんですね!」
気がつくと、メイングラウンドで練習していた後輩達がみんな集まっていて、監督まで来ている。その中でも仁村の奴が目を輝かせている。
「仁村、どういうことなんだ?」
「塚原先輩は、昔ピッチャーだったんです。」
神の問いに答えたのは、白石だった。
「なんだって?お前、なんで今まで・・・。」
驚いて問いかける神を遮るように、俺は言った。
「仁村、久しぶりに打ってみるか?」
「はい!」
嬉しそうに肯く仁村に白石がすかさずバットを渡す。
「行くぞ、仁村。」
「はい。」
我が校の4番に、俺の球が、どこまで通用するのか。みんなが興味津々の中、俺はまた振りかぶった。
「ウワッ。」
次の瞬間、慌てた声を上げたのは道原。ジャンプしても全く届かない暴投にすっかり面くらってる。唖然とする周りに構わず、俺は投げる。
右に左に、上に下に、さっきまでと同一人物の投球とは思えない乱れっぷりにキャッチャーもバッターも右往左往。
そして、ついに投球が仁村の顔近くに行ったのを見て
「先輩、もう止めて下さい!」
たまりかねて白石が叫んだ。その声に、俺が投げるのを止めると
「塚原さん。」
尻もちをついて、ようやく危険球を避けた仁村が俺を睨みつけながら、立ち上がる。
「司、大丈夫?」
心配そうに仁村に駆け寄った白石も、俺に冷たい視線を送る。
「仁村、すまなかった。だけどな、今のは別にふざけたわけでもなけりゃ、わざとでもねぇんだ。」
そう言うと、自嘲気味に俺は笑った。
俺の行動に、道原のみならず、みんな面食らってる。
「ご覧の通りだ。さ、行くぜ。」
神にそう答えると、俺は道原を促した。どうする?道原が指示を仰ぐように、神を見ると、奴は黙って頷いた。それを見て、道原も位置につく。
俺の左手にはいつものキャッチャーミットじゃなく、昔使っていたグローブ。久しぶりに引っ張り出して来た、懐かしい感触だ。
「さぁ、行くぜ。」
そう言うと俺は、ゆっくり振りかぶった。
「いいフォームだ。」
神が呟く声が耳に入る中、俺は第一球を投げ込んだ。
「ほぅ。」
周りから、思わず感嘆の声が上がる。俺の投げた球は自分でもほれぼれするくらいに、道原のミットに完璧なスピードとコントロールで吸い込まれて行った。
「へぇ、4年ぶりにしちゃ、結構いい球行くじゃねぇか。さ、続けて行くぜ。」
それから俺はしばらく投げ込んだ。周りはそんな俺のピッチングを息を飲んで見つめている。30球程投げて、ひと息つくと、途端に周りが騒ぎ出した。
「塚原、スゲェじゃん。」
「俺よりストレート、よっぽど速いぜ。」
神が、沖田が驚いたように声を上げる。
「塚原さん、やっと投げてくれたんですね!」
気がつくと、メイングラウンドで練習していた後輩達がみんな集まっていて、監督まで来ている。その中でも仁村の奴が目を輝かせている。
「仁村、どういうことなんだ?」
「塚原先輩は、昔ピッチャーだったんです。」
神の問いに答えたのは、白石だった。
「なんだって?お前、なんで今まで・・・。」
驚いて問いかける神を遮るように、俺は言った。
「仁村、久しぶりに打ってみるか?」
「はい!」
嬉しそうに肯く仁村に白石がすかさずバットを渡す。
「行くぞ、仁村。」
「はい。」
我が校の4番に、俺の球が、どこまで通用するのか。みんなが興味津々の中、俺はまた振りかぶった。
「ウワッ。」
次の瞬間、慌てた声を上げたのは道原。ジャンプしても全く届かない暴投にすっかり面くらってる。唖然とする周りに構わず、俺は投げる。
右に左に、上に下に、さっきまでと同一人物の投球とは思えない乱れっぷりにキャッチャーもバッターも右往左往。
そして、ついに投球が仁村の顔近くに行ったのを見て
「先輩、もう止めて下さい!」
たまりかねて白石が叫んだ。その声に、俺が投げるのを止めると
「塚原さん。」
尻もちをついて、ようやく危険球を避けた仁村が俺を睨みつけながら、立ち上がる。
「司、大丈夫?」
心配そうに仁村に駆け寄った白石も、俺に冷たい視線を送る。
「仁村、すまなかった。だけどな、今のは別にふざけたわけでもなけりゃ、わざとでもねぇんだ。」
そう言うと、自嘲気味に俺は笑った。