Smile  Again  〜本当の気持ち〜
翌朝、腫れぼったい目で登校して来た悠に対して、白鳥先輩は姿を現さない。クラスの空気も昨日の今日で、ギクシャクしている。


1時間目が終わったあと


「顔出せないんじゃない?ちっさぁ。」


と呆れる私に


「白鳥さんはそんな人じゃねぇ。」


と聡志が突っかかって来るから


「さぁ、どうだか?」


と冷たく返してやると


「由夏、お前!」


「何よ!」


と睨み合いになってしまう。その場は、沖田くんになだめられて、一回収まったけど、先輩は熱発で休みということがわかると


「昨日の今日で熱発?ミエミエ〜。」


と呆れ半分で言う私に


「先輩が仮病使ったって言うのか?」


とまた聡志が突っかかって来る。


「そうとしか考えられないじゃない、聡志。」


「ふざけんな!」


で、再びにらみ合い。


「おい、いい加減にしろって。とにかく確かめてくる。」


そんな私達をなだめると、沖田くんはどこかへ飛び出して行った。


そして昼休み。いつものように悠と屋上へ上がって来た私は


「沖田くんはどこから情報を仕入れたか知らないけど、どう考えても嘘っぽいよね。」


どこへ行っていたのか、間もなく戻ってきた沖田くんは先輩の熱発は間違いないと言ってたけど、私は全く信用出来ない。でも悠はそれどころじゃないよって顔で、私に聞いて来る。


「ねぇ、由夏と塚原くんって、どういう関係なの?」


そうだよね・・・普通そう思うよね。お世辞にも友好的なム-ドとは言えなくても、下の名前で当たり前のように呼び合ってるのを見ればね・・・。


「言ってなかった、よね・・・。」


今更、ちょっと言いづらいけどさ・・・。


「実は、聡志とは幼なじみなんだ。幼稚園から小学校卒業まで、ずっと一緒だった。」


「そうなの?」


驚きを隠せない悠。


「家も近所だったし、3年生くらいまでは一緒に学校行ってたかな。そのうち、お互い照れ臭くなって、止めちゃったけど。それでもクラスは一緒だったから。」


「へぇ、知らなかった。だって全然親しそうじゃなかったじゃん。」


「うん、小学校卒業と同時に、聡志は親の転勤で引っ越しちゃって、それっきりだったから。だから高校入って再会した時はびっくりしたよ。まさか帰ってきてるなんて思わなかったから。」


「それって運命的。」


「ぜ~んぜん。私達、そんなケ-タイ小説の世界のような関係じゃないから。だから再会しても『よう』『久しぶり』、それだけ。本当にその程度の間柄なんだよ。」


「フ-ン。」


「だいたい私の理想のタイプは、松本先輩だよ。聡志とは全然違うじゃん。」


「そっか。」


そう言うと私達は笑い合った。


でも、ホントは悲しかった。なんでだろう?悠、ごめんね。私ウソついてる。悠にだけじゃない。ひょっとしたら、自分の気持ちにも・・・。
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