Smile  Again  〜本当の気持ち〜
翌日、先輩は学校に出て来た。年上だし、甲子園のスタ-だっていうプライドもあるだろうに、迷惑をかけてスマンと、いろいろなクラスメイトに頭を下げてる姿に、やっぱり凄い人だなと、思わずにはいられなかった。


(悠は、素敵な人を好きになったんだな。そして好きになってもらったんだな、羨ましいよ。)


聞けば、悠と先輩は、昨夜のうちにちゃんと仲直りしたらしい。相変わらず、先輩の周りでキャ-キャ-騒いでる子達はいるけど、もう勝負ありだね。


そんなことを考えてると、ふと横から声がする。


「とりあえず、よかったな。」


「えっ?」


驚いて振り向くとそこには聡志が・・・。


「そんなに驚くなよ。」


そりゃ驚くよ、急に話掛けて来るんだもん。


「でも、このまますんなり行くかな?あの2人。」


「どうして?」


どう見たって、もう相思相愛じゃん、先輩と悠は。そんな私の思いがわかったのか、聡志は続ける。


「あんだけ、モテてた割には、恋愛経験値低いぜ、先輩。」


「はい?」


聡志の言うことが、いちいち意外で、私は戸惑う。


「と言って、ずっと先輩を遠巻きにしてるだけで、精一杯だった水木の方からコクるっていうのもハ-ドル高いだろ。」


「うん・・・。」


「知り合ってから1ヵ月、このまま一気に勢いで突っ走れればいいけど、さてどうなるかな?」


「聡志・・・。」


「まだまだ何が起こるか、わからんぜ。」


「そうかな?」


「自分の気持ちを相手に素直に伝えることって、結構難しいことなんじゃねぇのかな。」


なんで突然、私に話し掛けてきて、こんなことを言い出したんだろう・・・。私は思わず聡志の顔を見つめてしまう。


「なぁ、由夏。」


「うん?」


「頼みがあるんだ。」


「私に?珍しいじゃん。」


こうしてるのが、なんとなく気恥ずかしくなって、私は茶化したように言うけど


「絶交、一時的でいいから、解除してくんねぇか?」


「えっ?」


またしても驚かされてしまう。


「あの2人、絶対にまだ一波乱も二波乱もあると思う。その時は、俺達の出番だぜ、きっと。」


「聡志・・・。」


「俺は白鳥さんに、この1年を無駄にしたって後悔してもらいたくない。だから白鳥さんを応援してるんだ。お前も協力してくれよ、親友の為にも。」


「うん・・・。」


「ありがとう。」


頷いた私に、そう言って笑顔を送ると、聡志は離れて行った。


(聡志・・・。)


あまりにも意外な聡志の態度と言葉に、呆然としている私を残して・・・。
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