Smile  Again  〜本当の気持ち〜
「ねぇ由夏、どうしたの?」


朝から元気のない私を一所懸命に心配してくれる悠。


「身体の具合でも悪いの?」


本当に心配してくれてるのが、ヒシヒシと伝わってくる。いい子と友達になれたな。


身体は全然大丈夫、心の問題かな。でも、そんなこと言ったら、余計に悠に心配かけるだけだから、私は笑顔を見せる。


「ううん、大丈夫。心配かけてごめんね。」


その言葉に、ホッとしたように、悠も笑顔になる。


「よかった。でも、何かあったらすぐに言ってね。」


「うん、ありがとう。」


「そうだ、今日天気いいから、お弁当屋上で食べない?きっと気持ちいいよ。」


「そうだね、そうしよう。」


そんな約束をして、私達は自分の席に着く。


そして、お昼休み、屋上に上がって来た私達は、その開放感に感動してしまった。


「うわ〜、気持ちいい〜。」


「これは凄いね。」


周りに高い建物がないから、遠くに箱根の山々が見えたりして、予想以上のロケーション。なのに、なぜか人はまばら、不思議なくらい。


「さ、食べよう。」


「うん。」


私達は、さっそくお母さんお手製のお弁当を広げる。お弁当なんて、遠足とかを除けば、幼稚園以来だよね。


私のも、美味しいけど、悠のお弁当も栄養のバランスが考えられた美味しそうなお弁当。きっと優しいお母さんなんだろうな。


「ねぇねぇ、グラウンドが見えるよ。」


お弁当をあっという間に平らげた私達は、立ち上がって、改めて周囲を見渡す。悠が指差す先には、無人のグラウンドがあった。


「今日も練習、見に行くでしょ?」


当然のように聞いて来た悠に、私はちょっと小首をかしげた。


「うん、そうしたいのはヤマヤマだけど、今日はちょっと別の部活を回ってみない?一応、他の部活も見て、考えたいし。」


私の返事に、悠はちょっと意外そうな表情になったけど、すぐに


「それもそうだね。じゃ、どこにしようか?」


といつもの明るい表情で聞いて来る。


ゴメンね、悠。今日はグラウンドに行きたくないんだ。だって、ひょっとしたら、あいつも来るかもしれないから、心の整理がまだつかないから・・・。
< 14 / 217 >

この作品をシェア

pagetop