Smile  Again  〜本当の気持ち〜
悠と先輩は、1回一緒に図書室で勉強したみたいだけど、周りの反響があまりにもすさまじく、それっきり。そのまま定期試験に突入で、事態は一旦沈静化。


でも、試験の結果が、惨憺たる有様だったらしい先輩から、再びSOSを受けた悠は、今度は放課後に教室で、一緒に勉強することを思いついた。何とか先輩の力になりたいと必死の悠の乙女心、う~ん健気だ。


その健気さにほだされた私は、その勉強会に付き合うことにした。本当は2人きりになりたいんだろうけど、雑音をシャットアウトし、少しでも勉強会を効果のあるものにする為には、我慢してもらうしかない。


もう1人、先輩取り巻き女子組から私達の仲間に移籍して来た桜井加奈を加えて、突然始まった勉強会に、クラスメイト達は奇異の視線を送ったけど、それ以上の騒ぎにはならない・・・と思ったら、デリカシ-のない奴が1人、ノコノコと近づいて来ると言った。


「先輩、両手に花どころの騒ぎじゃありませんね。」


もう、そんなちゃちゃはいらないんだよ。イラッとした私は


「うるさいよ、聡志。」


思わず聡志をにらむ。しかし聡志はひるまず


「ま、お前は賑やかしでしかないけどな。」


「なによ!そんなこと、あんたに言われたくないわよ。」


そんな私達に


「あれ?仲いいんだね、2人。」


なんて、加奈が呑気なツッコミを入れて来るから、余計イラッとして


「冗談言わないでよ。」「冗談じゃねぇよ。」


なぜかハモッてしまって、ますます頭に来てしまう。


「塚原、先輩の邪魔になるから、もう行こうぜ。」


見かねたか沖田くんが、そう声を掛けるけど


「わかったよ。じゃ先輩、お先です。由夏もどうせ邪魔になるだけだから、早く帰って、マンマでも食って寝ろよ。」


と最後にまた頭に来るセリフを残してくから


「あいつ、今度ぶっ飛ばしてやる。」


と日頃、おしとやかな、わたくしに似つかわしくない言葉を口にしてしまって、横で加奈がクスクス笑っている。こないだのあの言葉はなんだったのよ!


でも、そんな最中にも、先輩と悠は、我関せずで、肩寄せ合ってお勉強中。これでまだカレカノじゃないって信じられないよね。


こうして始まった勉強会は、でも私も加奈も毎日は参加できなくて、そんな中、悠だけは、自分の勉強を犠牲にしても、必ず先輩に付き合ってる。


そんな2人の姿に、また周囲はざわめき出す。そしてそれは先輩の取り巻き女子達だけじゃなかったんだ・・・。
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