Smile  Again  〜本当の気持ち〜
昼休み、私は白鳥先輩を付き添いに、本当に山上先生の所へ売り込みに行った。


「珍しい組み合わせだな。一体何事だ?」


「はい。実は今度、松本先輩がいらした時に、もし花束贈呈とかのセレモニーがあったら、是非私にやらせて欲しいんです。」


勢いこんで、こう言った私の顔を、先生は一瞬ポカンとして、見つめていたけど、次にプッと吹き出した。


「岩武、お前真面目に言ってるのか、それ?」


「はい、もちろんです!」


「で、白鳥はその応援団ってわけか?」


「まぁ、そんなところです。」


先生は私達の顔を交互に見ると言った。


「確かに、出迎えが岩武なら、松本も喜ぶな。」


「きっと。」


ちょっと、2人して、何言ってるの?からかわないでよ。


「わかったよ、校長に話だけはしておく。それ以上の約束はできんけどな。」


「はい、ありがとうございます、」


そう言って、頭を下げた私の肩を、先生はポンと叩いた。


職員室を出た私は、今度は先輩にお礼を言う。


「先輩、ありがとうございました。」


「礼なんて言われると、困るよ。俺は付いて来ただけだし、まだ岩武の希望通りになるって決まったわけでもないんだから。」


「ううん、先輩が来てくれなかったら、私、さすがに先生に言えませんでした。」


「そう、なら一緒に来た甲斐があった。岩武、君の希望、叶うといいな。」


「はい。」


そう言って、暖かい笑顔をくれる先輩。悠、知らないよ、いつまでも意地張ってると、こんな優しい人、誰かに取られちゃうよ。


私達は仲良く、話ながら教室に入る。悠がチラッとこちらを見たけど、すぐに知らん顔で視線を逸らした。ほら、悠、ヤキモチ焼いてごらん。でもヤキモチ焼いたのは、悠じゃなくて、別のヤツだったことには、私、気づかなかったなぁ・・・。
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