Smile Again 〜本当の気持ち〜
でも、ショッキングなことを聞いた。松本先輩と木本先輩が付き合っているという事実だ。
いつ見ても、練習に打ち込んでいる松本先輩と、忙しく動き回っている木本先輩。グラウンドでの2人を見る限り、そんな雰囲気は全然感じられなかったけど、学内では有名な話らしい。
でも、言われてみれば、2人はお似合いのカップルだと思うし、それで松本先輩への憧れの気持ちが薄れることはなかった。それに、松本先輩に近づくことだけが目的で、私は野球部に入ろうと思ったわけじゃない。
私は野球が純粋に好きなんだ。野球好きのお父さんの影響で、小さい頃から、野球を見て育った私は、自分でやろうという積極性はなかったけど、野球に携わることがしたいと思ってた。高校野球のマネ-ジャ-という存在は、私にとっては、憧れのポジションだったのは確かなんだ。
でも、毎日のように、木本先輩の動きを観察していて、それが決して華やかな立場でもなんでもないという現実を見せつけられて、怖気づいて来てしまったのも確か。私には無理かもしれないという思いが、日増しに憧れの気持ちを押し込みつつあった。
更に、もう1つ・・・。まだ入部してはいないみたいだけど、きっとあいつが野球部に入って来るはずだということが、私の躊躇を強めていた。
聡志と同じ部活に入る、選手とマネ-ジャ-という立場の違いはあれ、あいつと1つの目標に向かって、力を合わせて進んで行くことが、出来る自信が私には全く持てなかった。
その一方で、そうなることが、私達の関係を好転させるきっかけになるかもしれないという思いも捨てきれなかった。
私どうしたら、いいんだろう。どうするべきなんだろう・・・。
その時、私の耳に、あの声が聞こえて来た。
「1年B組、塚原聡志。本日より入部させていただきます。よろしくお願いします!」
(来た。)
思わず、その声の方を振り向いた私は、目を疑った。そして次の瞬間
「悠、ゴメン。私、やっぱり無理。」
そう言うと、グラウンドに背を向けて、走り出した。
「えっ?ちょっと待って、由夏!」
慌てて追いかけて来る悠を振り返りもせず、私は走る。
(なんで、なんで、キャッチャ-になっちゃってるの?聡志。)
私は信じられないものを見た思いだった。
いつ見ても、練習に打ち込んでいる松本先輩と、忙しく動き回っている木本先輩。グラウンドでの2人を見る限り、そんな雰囲気は全然感じられなかったけど、学内では有名な話らしい。
でも、言われてみれば、2人はお似合いのカップルだと思うし、それで松本先輩への憧れの気持ちが薄れることはなかった。それに、松本先輩に近づくことだけが目的で、私は野球部に入ろうと思ったわけじゃない。
私は野球が純粋に好きなんだ。野球好きのお父さんの影響で、小さい頃から、野球を見て育った私は、自分でやろうという積極性はなかったけど、野球に携わることがしたいと思ってた。高校野球のマネ-ジャ-という存在は、私にとっては、憧れのポジションだったのは確かなんだ。
でも、毎日のように、木本先輩の動きを観察していて、それが決して華やかな立場でもなんでもないという現実を見せつけられて、怖気づいて来てしまったのも確か。私には無理かもしれないという思いが、日増しに憧れの気持ちを押し込みつつあった。
更に、もう1つ・・・。まだ入部してはいないみたいだけど、きっとあいつが野球部に入って来るはずだということが、私の躊躇を強めていた。
聡志と同じ部活に入る、選手とマネ-ジャ-という立場の違いはあれ、あいつと1つの目標に向かって、力を合わせて進んで行くことが、出来る自信が私には全く持てなかった。
その一方で、そうなることが、私達の関係を好転させるきっかけになるかもしれないという思いも捨てきれなかった。
私どうしたら、いいんだろう。どうするべきなんだろう・・・。
その時、私の耳に、あの声が聞こえて来た。
「1年B組、塚原聡志。本日より入部させていただきます。よろしくお願いします!」
(来た。)
思わず、その声の方を振り向いた私は、目を疑った。そして次の瞬間
「悠、ゴメン。私、やっぱり無理。」
そう言うと、グラウンドに背を向けて、走り出した。
「えっ?ちょっと待って、由夏!」
慌てて追いかけて来る悠を振り返りもせず、私は走る。
(なんで、なんで、キャッチャ-になっちゃってるの?聡志。)
私は信じられないものを見た思いだった。