Smile  Again  〜本当の気持ち〜
そうか、お前はそう思ってたのか・・・。お前に興味がない?冗談じゃない、そんなワケねぇだろ。人の気も知らないで・・・。


だが、今はそれを言ってもしょうがない。


「相手に興味があろうとなかろうと、男はスイッチが入っちゃうことがあるんだ。さっきのお前見てると、お子ちゃまだなと思わなくもないけど、やっぱり由夏はもう18歳の女子なんだ。少しは自覚しろよ!」


必死に言い募る俺を由夏はじっと、見つめていたが、やがてフッと微笑んだ。


「一応は自覚してるつもりなんだけどな。でも大丈夫、聡志は、私が本当に嫌がることは絶対にしないから。」


「由夏・・・。」


その言葉を聞いた俺は、息を呑んだ。そして次の瞬間、居たたまれなくなった。だって・・・


「そんなこと、ねぇだろ・・・。俺はずっと、小学校3年の時から、お前のこと、突き放して来たじゃねぇか。」


「それは・・・たぶん知らないうちに、私が聡志を傷つけるようなことをしちゃったからだよね。」


その言葉を聞いて、俺は思わず、上を向いた。涙が出そうになってしまったからだ。


(お前、本当に今までそう思ってたのか?だとしたら、俺は最低過ぎる・・・。)


「聡志・・・。」


俺が上を向いたまま、何も言わないので、不安げに声を掛けてくれる由夏。俺は、懸命に涙を抑えると、由夏を見た。


「風呂はいい。」


「えっ?」


「泊まるつもりなんかなかったから、着換え用意して来てねぇよ。だから、お前入って、今日はさっさと寝ちまえ。」


「じゃ、泊まってくれるの?」


「仕方ないだろ。ただし、風呂上がりのパジャマ姿で俺の前をうろついたりすんじゃねぇぞ。そういう挑発行動は自殺行為だからな。」


「わかった。」


俺が残るとわかって、本当に嬉しそうな表情を俺に向ける由夏。俺は抱きしめたくなる衝動を抑えるのに必死だ。


「で、聡志はどこで寝る?」


「そこのソファで十分だよ。布団1枚貸してくれよ。」


「でも、それじゃ・・・。」


「大丈夫だよ。あとお前、部屋のドアの前に、出来るだけ物置いとけ。バリケード代わりに。」


「何言ってんの?」


「言っとくけど、冗談じゃないからな。俺を犯罪者にしたくないと思ったら、頼んだぞ。」


「はい、はい。」


ニヤニヤしなから、答える由夏。


「あとは・・・。」


「まだあるの?」


「俺の理性と自制心が朝まで持つように、一緒に祈ってくれ。」


その言葉に一瞬、俺の顔を見つめた由夏は


「うん。じゃお風呂入って来ちゃうね。」


と肯いてみせると、笑顔を残して、部屋を出て行った。
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