Smile  Again  〜本当の気持ち〜
「悠、ごめんね。」


「ううん、いいんだよ。私もちょっと自信ない。正直、マネ-ジャ-の仕事があんなに大変なものだとは思わなかった。とても憧れの先輩に近づけるから、なんて安易な考えで務まるものじゃないよ。」


私達は、結局入部を諦め、帰宅の途に着いた。これで帰宅部確定。


「うん。だから、これからは部活以外で青春を謳歌しようよ。」


「ドーナツがおいしいお店があるんだ。一緒に行かない?」


「うん、行く行く。」


そんなことを話しながら、学校を出る私達。自転車通学の悠は、この辺のことには詳しい。野球部練習見学(?)は止めるつもりはないけど、これからはその他にも、2人でいろんな所へ、遊びに行きたいな。


悠が連れてってくれたお店は、入り易くって、味も最高。私達はしばらくガ-ルズト-クを楽しみながら、時を過ごした。


わざわざ駅まで遠回りして、送って来てくれた悠とバイバイして、電車に乗り込んだ私は、途端に物思いに沈んだ。


(悠、本当にごめんね。)


わかってるんだ、本当は悠は、野球部に入りたかったんだって。白鳥先輩には、彼女がいないらしい。だから悠にもチャンスはあるし、なにより悠も野球が好き。きっといいマネ-ジャ-になれると思う。


悠だけでもやりなよって、喉まで出かかったけど、言えなかった。だってそんなこと言っても、悠は喜ばないってわかってたから。


悠は、私と一緒に過ごす時間の方を、大切にしてくれたんだ。そして、私がマネ-ジャ-になることを諦めたのは、ただ単に大変そうだからという理由だけじゃないことも薄々気付いている。


だけど、それを私から、無理に聞き出そうとはしない。私が話そうとすれば、それこそ全身全霊で、耳を傾けてくれるに違いないけど。


私はどうやら、本当に得難い友達に巡り合えたみたいだ。


(悠、これからもずっと友達でいてね。私は悠と出会えただけで、明協に入ってよかったと思うよ。)


さすがに照れ臭くて、面と向かっては言えない言葉を、私は心の中で悠に贈った。
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