Smile  Again  〜本当の気持ち〜
クラスのトリを取る形で、白鳥先輩が学校に帰って来て、私達のクラスの受験は終わった。


先輩と一緒に登校して来た悠の顔の輝いていたこと。今日は学校終わってから、一緒にランチして、土曜日には、みなとみらいの遊園地に行くんだって。いいなぁ〜。


「ねぇ悠、日曜日は空いてる?」


「うん。」


「じゃあ、加奈と3人で映画見に行かない?ちょっと面白そうなの、見つけたんだ。」


「本当?行く行く!加奈も大丈夫だよね?」


「もちろん。私は2人から誘われなきゃ、予定0。」


加奈はなんか、寂しいことを言っている。でも、私も加奈のこと、あんまり言えないか。


だって、また聡志と口きけなくなっちゃった。
3年間、おんなじことの繰り返し。成長してないよね、私もあいつも・・・。


あいつと、どこ行こうかなって、ウキウキしながら考えてた数日前の自分が虚しくなる。結局、このままなんだよ、私達。


そして日曜日、約束通り、映画を見た私達だけど、悠はなぜか大泣き。確かに泣ける映画なんだけど、ちょっと様子が変。昨日は楽しい遊園地デートだったはずなのに、何かあったのかな?


映画が終わって、スイーツを食べることにした私達。そこで、悠から先輩が4月から名古屋の大学に行ってしまうと告げられて、びっくり。


知らなかったこととは言え、よりによって、遠恋がテーマの映画に誘ってしまった間の悪さ。落ち込む悠を、遠恋を貫くべき、悠達なら絶対出来ると、励ます加奈の横で


「でも、人は変わるからね。」


「由夏・・・。」


「離れてれば、人は変わるよ。心が変わるから、その人自身が変わってしまうのか、環境が人を変えるのか、私にはよくわからないけど、悠と先輩が、それに当てはまらないといいけどね。」


加奈の努力を水の泡にするような、超ネガティブな私の一言で、座はすっかり重くなってしまい、せっかくのスイーツも台無し。私達はまもなく解散の運びとなってしまった。


「由夏。」


途中で、悠と別れて、2人になったところで、加奈がちょっと尖った声を出す。


「ゴメン。明日、悠に謝る。」


まずいことを言ってしまった自覚は当然ある。ちょっとしょげながら、言う私に


「違うよ。私が言いたいのは、そんなことじゃないよ。」


と加奈。


「このままでいいの?」


「・・・。」


加奈が何を言いたいかは、わかってる。でも私はその言葉に答えることが出来ない。
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