Smile Again 〜本当の気持ち〜
学校の授業は、2月一杯で終了。もうあとは卒業式前日のリハ-サルと、卒業式当日にしか学校には来ない。もっとも俺達は後輩達の学年末試験が終わったあと、いよいよ追い出し試合がある。
ただのイベント試合だけど、俺達にとっては大切な高校最後の試合。3年間、共に戦った仲間達との最後の試合になる。
この日、最後の授業を終えた俺達は、1人も欠けることなく、グラウンドに集合した。後輩達は試験前の部活休止期間で不在、久しぶりにメイングラウンドを占拠した俺達は、監督や白鳥先輩にも付き合ってもらって、現役時代さながらのハ-ドな練習をこなした。
「3月に入ると、みんないろいろあるから、こうやって全員揃って、練習出来るのも、今日が最後だな。」
「ああ。なんとか、試合で恥かかない程度には、みんな仕上がって来たから、あとは各自、試合まで、ちゃんと調整続けてくれよ。」
俺や神の言葉にみんなが頷いた。現役である後輩達に勝つのは正直難しいとは思う。だけど、ほとんどの仲間にとって、今度の試合は正真正銘の引退試合、無様な真似は出来ないし、したくないとみんな燃えている。
「お疲れさん、いい感じになって来たじゃないか。」
そこへ監督と、なにやら話していた先輩が戻って来た。
「お疲れ様でした。」
「ところで、今度の試合、俺がお前達のチームの指揮執らせてもらうことになったから、よろしく。」
「そうなんですか?」
「俺にとっても、1年遅れの追い出し試合。勝ちに行くからな。」
「オー!」
俺はもうプレーヤーじゃないからと、監督どころか水木が説得しても、試合出場には首を縦に振らなかった先輩が、こんな形で参加してくれるとは。俺達の意気はますます上がる。
後片付けも終わり、あとは三々五々解散。俺は、白鳥先輩を呼び止めた。
「先輩、このあと、デートですか?」
「いや、悠は、岩武達とどっか行くって言ってたからな。」
「じゃ、ちょっといいですか?」
「ああ。」
誰もいなくなったグラウンドで向かい合う俺達。
「なんだ?」
「別に深刻な話じゃないっすよ。ただちょっと相談したいことがあって。」
「相談?」
「ええ。実はその・・・明後日の日曜に、女の子と出かけることになって・・・どんな格好してったらいいかなと思って・・・。」
照れ気味に話す俺の顔を見て、先輩がニヤリと笑った。
「へぇ、お前達の代はあんまり浮いた話を聞かなかったけど、卒業間近になって、よかったじゃないか。」
「先輩達と比べられて、俺達は損をしてたんですよ。」
俺の言葉に、苦笑いの先輩。
「それじゃ、いいアドバイスをしてやらなくちゃならんが、そんなに気取った格好して行く必要はないさ。で、どこに行くんだ?」
「ドームです、野球見に行こうって言われて。」
「なんだ、誘われたのか、凄いじゃないか。じゃ、松本にメール入れとけよ。彼女と試合見に行きますって。」
「いや、別に彼女じゃないですよ。野球が好きな子で、俺は付き添いみたいなもんです。」
「まぁ、楽しんで来い。帰りにお茶くらい誘うのは、エチケットだぜ。」
やっぱりそういうもんか。うまく話が続くかな?
「そう言えば、明日、お前大学の練習に参加するんだろ?」
「はい。」
「じゃ、そっちも合わせて、報告待ってるからな。」
そう言うと先輩は笑った。
ただのイベント試合だけど、俺達にとっては大切な高校最後の試合。3年間、共に戦った仲間達との最後の試合になる。
この日、最後の授業を終えた俺達は、1人も欠けることなく、グラウンドに集合した。後輩達は試験前の部活休止期間で不在、久しぶりにメイングラウンドを占拠した俺達は、監督や白鳥先輩にも付き合ってもらって、現役時代さながらのハ-ドな練習をこなした。
「3月に入ると、みんないろいろあるから、こうやって全員揃って、練習出来るのも、今日が最後だな。」
「ああ。なんとか、試合で恥かかない程度には、みんな仕上がって来たから、あとは各自、試合まで、ちゃんと調整続けてくれよ。」
俺や神の言葉にみんなが頷いた。現役である後輩達に勝つのは正直難しいとは思う。だけど、ほとんどの仲間にとって、今度の試合は正真正銘の引退試合、無様な真似は出来ないし、したくないとみんな燃えている。
「お疲れさん、いい感じになって来たじゃないか。」
そこへ監督と、なにやら話していた先輩が戻って来た。
「お疲れ様でした。」
「ところで、今度の試合、俺がお前達のチームの指揮執らせてもらうことになったから、よろしく。」
「そうなんですか?」
「俺にとっても、1年遅れの追い出し試合。勝ちに行くからな。」
「オー!」
俺はもうプレーヤーじゃないからと、監督どころか水木が説得しても、試合出場には首を縦に振らなかった先輩が、こんな形で参加してくれるとは。俺達の意気はますます上がる。
後片付けも終わり、あとは三々五々解散。俺は、白鳥先輩を呼び止めた。
「先輩、このあと、デートですか?」
「いや、悠は、岩武達とどっか行くって言ってたからな。」
「じゃ、ちょっといいですか?」
「ああ。」
誰もいなくなったグラウンドで向かい合う俺達。
「なんだ?」
「別に深刻な話じゃないっすよ。ただちょっと相談したいことがあって。」
「相談?」
「ええ。実はその・・・明後日の日曜に、女の子と出かけることになって・・・どんな格好してったらいいかなと思って・・・。」
照れ気味に話す俺の顔を見て、先輩がニヤリと笑った。
「へぇ、お前達の代はあんまり浮いた話を聞かなかったけど、卒業間近になって、よかったじゃないか。」
「先輩達と比べられて、俺達は損をしてたんですよ。」
俺の言葉に、苦笑いの先輩。
「それじゃ、いいアドバイスをしてやらなくちゃならんが、そんなに気取った格好して行く必要はないさ。で、どこに行くんだ?」
「ドームです、野球見に行こうって言われて。」
「なんだ、誘われたのか、凄いじゃないか。じゃ、松本にメール入れとけよ。彼女と試合見に行きますって。」
「いや、別に彼女じゃないですよ。野球が好きな子で、俺は付き添いみたいなもんです。」
「まぁ、楽しんで来い。帰りにお茶くらい誘うのは、エチケットだぜ。」
やっぱりそういうもんか。うまく話が続くかな?
「そう言えば、明日、お前大学の練習に参加するんだろ?」
「はい。」
「じゃ、そっちも合わせて、報告待ってるからな。」
そう言うと先輩は笑った。