Smile  Again  〜本当の気持ち〜
「ここに、毎年クラス分け表が貼り出されてたんだよな。入学式の時もそうだった。まず自分の名前を見つけたあと、なんの気なしに、他のクラスの名簿を見ていたら、お前の名前があった。あの時は、大袈裟じゃなくて、呼吸が止まるくらいに驚いた。そして、嬉しかった。」


嬉しかった?本当に?


「本当だよ。やっぱり縁があったのかなって。神様に感謝したよ。ずっと後悔してたから、由夏とあんな別れ方して。サヨナラすら、ちゃんと言えなくて。でも、クラスは違ってたけど、また同じ学校に通えるんだって。もう1度、チャンスが来たことに、感謝した。」


「チャンス・・・?」


「まず由夏に謝って、幼なじみにちゃんと戻って、そして・・・そうしようと思った。そうしたいと思った。なのに・・・。」


実際の聡志の態度は、全然違ってた、よ・・・。


「俺、仙台に行って、いろいろあって、周りに壁作って、人と喋ることが苦痛になってた。そんな自分をなかなか変えるというか、元に戻すことが出来なかった。それに・・・。」


ここで一瞬言い澱んだ聡志は、少し視線を外らすと、照れ臭げに、また話し始めた。


「お前が・・・離れてる間に、凄くキレイになってて・・・その、なんだ・・・とにかくスゲェいい女になってて。」


「えっ?」


突然、そんなことを言われて、ビックリして、顔が赤くなるのがわかる。


「正直、近寄り難かった。更に決定的だったのは・・・お前が松本省吾を好きだったこと。」


「聡志・・・。」


「2年間、身近にいて、俺はあの人の偉大さ、凄さ、カッコ良さ・・・嫌って程、感じさせられて来た。そんな、あの人に夢中になってるお前を振り向かせることなんか、出来るはずもない、そう諦めた。諦めるしかなかった・・・。」


えっ、ちょっと待って・・・。


「聡志、1つ教えて。聡志は私のこと、嫌いだったんだよね?」


「なんで?」


「なんでって・・・だって、ある時から急に口きいてくれなくなっちゃったじゃない。あんなに仲良しだったのに・・・私、よっぽど聡志にひどいことを・・・。」


「そんなわけねぇだろ!」


突然大きな声を出した聡志に驚いていると、慌てたように


「ゴ、ゴメン。」


と謝る聡志。そして


「やっぱり、あの時のことを話さなきゃいけないよな。」


と言うと、フッと息をついた。
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