Smile Again 〜本当の気持ち〜
今までだったら、俺はそんなあいつを、言葉もなく見送るだけ。だけど、今日はそうはいかない。決めたんだ、今日こそ全部、あいつにぶつけるって。明日じゃ遅いんだ、だって、明日になったら、俺達はもう高校生じゃなくなっちまうんだから。
俺は、由夏を追いかける。普段運動もしてないあいつと、現役の野球選手である俺が、マジで駆けっこして、俺が負けるはずもない。少し走って、あいつに追いついた俺は、再び由夏の腕をつかむ。1回振り払われたけど、今度は手を掴む。
「離して!」
「嫌だ、絶対に嫌だ。今日は最後まで話を聞いてもらう。だから離さない。」
俺がこう言うと、背を向けたままだけど、由夏の力がふっと緩んだ。ホッとした俺は、今自分達のいる場所が、グラウンドの側であることに気付いた。思えば、ここで由夏はよく練習を見ていた。今はここにももう、人影はない。だけど、今の俺には、ここがどこだろうと関係ない。
「由夏が怒るのも無理ない。また『最低』って言われても仕方ない。だけど、俺はもう、お前に『最低』とだけは言われたくない。」
「・・・。」
「だから・・・最後まで聞いて欲しい。由夏、俺はお前が好きだ。」
俺のその言葉を聞いて、由夏の肩がピクリと揺れる。だけど、振り向いてはくれない。
「俺の気持ちは変わらない。一緒にいた時も、俺のバカで気まずくなってしまった時も、離れ離れの時も、そして今も変わらない・・・はずだった。」
その言葉に、また由夏の肩が揺れる。
「だけど、わからなくなった。予想もしないことが起きて・・・。まさか、この俺が女の子からコクられるなんて・・・。」
相変わらず、振り向いてもくれない由夏。俺はそんな彼女の背中に必死に話す。
「正直嬉しかった、舞い上がったよ。どうやったら、お前に自分の気持ちが伝えられるのか、そればかり考えて来た俺が、告白される方になるなんて。」
「・・・。」
「だけど、少し落ち着いて来たら、俺はわからなくなった。俺が好きなのはお前のはず。なのになんで、俺は長谷川にコクられて喜んでる?一体、俺はどうしたいんだ、どうしたらいいんだって。」
聞いてくれているのか、いないのか、何の反応も示さなくなった由夏。でも俺は話し続けるしかない。
「お前が一所懸命に連絡とろうとしてくれてたのは、わかってた。長谷川からも連絡があった。だけど、俺はどちらにも返せなかった。どうしたらいいか、どうしたいのかが、わからなかったから。」
「・・・。」
「先輩にも相談したけど、結局は自分の気持ちを確かめるしかないと思った。だからまず、俺は長谷川に連絡をとった。」
「私じゃなくて、長谷川さんなんだ、まず。」
ようやく聞こえて来た由夏の声は冷たい。
「すまん。だけど、それはいい加減な気持ちで、由夏には会いたくなかったからだよ。自分の気持ちがちゃんとわかってからお前に会いたかったから。それが、少なくともずっと好きだったお前への最低限のマナーだと思ったから。」
「それで、どうだったの?」
懸命に話す俺に対して、由夏の口調はやっぱり冷ややかだった。
俺は、由夏を追いかける。普段運動もしてないあいつと、現役の野球選手である俺が、マジで駆けっこして、俺が負けるはずもない。少し走って、あいつに追いついた俺は、再び由夏の腕をつかむ。1回振り払われたけど、今度は手を掴む。
「離して!」
「嫌だ、絶対に嫌だ。今日は最後まで話を聞いてもらう。だから離さない。」
俺がこう言うと、背を向けたままだけど、由夏の力がふっと緩んだ。ホッとした俺は、今自分達のいる場所が、グラウンドの側であることに気付いた。思えば、ここで由夏はよく練習を見ていた。今はここにももう、人影はない。だけど、今の俺には、ここがどこだろうと関係ない。
「由夏が怒るのも無理ない。また『最低』って言われても仕方ない。だけど、俺はもう、お前に『最低』とだけは言われたくない。」
「・・・。」
「だから・・・最後まで聞いて欲しい。由夏、俺はお前が好きだ。」
俺のその言葉を聞いて、由夏の肩がピクリと揺れる。だけど、振り向いてはくれない。
「俺の気持ちは変わらない。一緒にいた時も、俺のバカで気まずくなってしまった時も、離れ離れの時も、そして今も変わらない・・・はずだった。」
その言葉に、また由夏の肩が揺れる。
「だけど、わからなくなった。予想もしないことが起きて・・・。まさか、この俺が女の子からコクられるなんて・・・。」
相変わらず、振り向いてもくれない由夏。俺はそんな彼女の背中に必死に話す。
「正直嬉しかった、舞い上がったよ。どうやったら、お前に自分の気持ちが伝えられるのか、そればかり考えて来た俺が、告白される方になるなんて。」
「・・・。」
「だけど、少し落ち着いて来たら、俺はわからなくなった。俺が好きなのはお前のはず。なのになんで、俺は長谷川にコクられて喜んでる?一体、俺はどうしたいんだ、どうしたらいいんだって。」
聞いてくれているのか、いないのか、何の反応も示さなくなった由夏。でも俺は話し続けるしかない。
「お前が一所懸命に連絡とろうとしてくれてたのは、わかってた。長谷川からも連絡があった。だけど、俺はどちらにも返せなかった。どうしたらいいか、どうしたいのかが、わからなかったから。」
「・・・。」
「先輩にも相談したけど、結局は自分の気持ちを確かめるしかないと思った。だからまず、俺は長谷川に連絡をとった。」
「私じゃなくて、長谷川さんなんだ、まず。」
ようやく聞こえて来た由夏の声は冷たい。
「すまん。だけど、それはいい加減な気持ちで、由夏には会いたくなかったからだよ。自分の気持ちがちゃんとわかってからお前に会いたかったから。それが、少なくともずっと好きだったお前への最低限のマナーだと思ったから。」
「それで、どうだったの?」
懸命に話す俺に対して、由夏の口調はやっぱり冷ややかだった。