Smile  Again  〜本当の気持ち〜
「キャ-、松本先輩、最高~。」


先輩のビックプレ-が出た直後、私は思わずそう叫んでしまった。もちろん、周りも大歓声。そしてその後、沖田くんと聡志が無事、ピンチを脱すると、再び私達は大盛り上がり。


(先輩、ありがとうございました。聡志、よく頑張ったね!)


隣の悠と、手を取り合って喜びながら、私は心の中で思っていた。


だけど、聡志にとって、これが、この夏の最初で最後の出場試合となった。


準々決勝からの3試合は、今までとは打って変わった死闘の連続となり、白鳥先輩がマウンドに立ちはだかり、松本先輩を始めとしたバッター陣が、懸命に相手投手に襲いかかった結果、明協はなんとか、2年連続の夏の甲子園出場を果たした。


史上初の甲子園3連覇をかけた戦いは、ベスト8まで勝ち上がったけど、ここでお隣りの埼玉県代表に0ー1の完封負け。


最後のバッターとなった松本先輩のバットが空を切った時、私達明協応援団からは悲鳴が上がり、逆に相手校のスタンドからは、大歓声が巻き上がった。


ここに昨夏の神奈川県予選から続いていたウチの高校の公式戦連勝記録はストップし、号泣する悠を懸命に慰めながら、私は力なくベンチに戻る先輩の姿を見つめていた。
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