Smile  Again  〜本当の気持ち〜
「1番からの打順だもん、大丈夫だよね?」


「でも、とにかく5番の佐藤先輩までに、少なくとも同点に追いつかないと厳しいよ。」


「ううん、松本先輩で追いつかないと、佐藤先輩は敬遠されちゃうよ。」


「そっか・・・。」


私達が、こんなことを話していると、先頭の大宮先輩が四球で歩く。大金星に向けて、相手ピッチャ-も固くなってる。でも粘りが身上のはずの2番の久保先輩があっさりフライを打ち上げてワンアウト。


でも続く3番の白鳥先輩が三遊間を破って、ワンアウト1.2塁。ここでバッタ-は


「4番サ-ド、松本くん。」


私達のボルテ-ジは最高潮、最高の場面で最高のバッタ-の登場だ。


「ホームランなら逆転サヨナラだよ、悠。」


「でも、勝負するかな?松本先輩と。」


「うん・・・。」


でも、次の瞬間だった。相手投手の投じた一投を逃さなかった松本先輩のバットから、凄まじいばかりの快音が響く。


そして私達の大歓声、絵に描いたような逆転サヨナラ3ランだ。


(凄い、カッコよ過ぎる、この人、もうサイコ~。)


ピョンピョン飛び跳ねて、大喜びの私達だった。


これで、立ち直ったかに見えた我が明協高校は、その後、勝ち進んだもの、決勝戦でライバル東海高校に敗れてしまった。準優勝校として、関東大会には進めたものの、白鳥先輩と聡志のバッテリ-が、なんともしっくりいってないように見え、この先の戦いに、不安が募る結果になってしまった。
< 36 / 217 >

この作品をシェア

pagetop