Smile Again 〜本当の気持ち〜
騒ぎを聞き、慌てて駆け付けて来た岡田監督に、塩崎達は口々に俺の非道を訴えた。なんてことをしてくれたんだと言わんばかりに俺を叱責する岡田に俺は頭を下げ、更に
「塩崎さん、本当に申し訳ありませんでした。」
と謝罪すると、その場でユニホ-ムの上着を脱いだ。
「塚原・・・。」
驚く望月を尻目に、俺はこの寒さの中、アンダ-シャツで歩き出した。退部するつもりだった。
しかし、事態はそれだけでは収まらなかった。俺がなぜ、あのような暴挙に出たのか、その動機が当然疑問視され、学校の調査が始まった。
俺は一切の言い訳をしなかったが、望月だけでなく、他の何人かの部員も塩崎の卑劣な行動を証言し、更にそこに至るまでの野球部の実情も、白日の下にさらされることになり、責任を問われた岡田は解任、やがて年度末をもって、ウチの中学からも姿を消した。
俺達生徒は、塩崎と俺は当事者として、3日間の謹慎。他の部員も厳重注意となったが、部の存続は今回はお構いなしという、温情裁定が下った。校長としても、岡田の無責任な行動を放置していた責任を感じたんだろう。
年が明けて、新しい監督の下で、再出発した野球部。だけど、退部届を出した俺には無関係。今回の騒動で、あることないことを言われ、クラスでも孤立した俺は、無気力な毎日を送っていた。
そんな俺を見かねた望月が、新監督と引き合わせてくれた。
「塩崎がな、お前が戻って来ないなら、自分も退部すると言ってきてる。」
「えっ?」
まさか、あの塩崎が・・・。信じられない思いで、俺は監督の顔を見る。が、嘘を言ってるとは思えない。
「お前、野球好きか?」
「はい。」
「こんなことが、あってもか?」
「はい。」
ためらうことなく答える俺。
「なら戻って来い。みんな野球が好きなんだ、お前も俺も、塩崎も。だったら、一緒にやれる。」
「監督・・・。」
「ただし、1つだけ条件がある。お前はピッチャーから外す。」
「えっ?」
「理由はお前が1番よくわかってるはずだ。それでも、よければ、一緒にやろう。」
息を呑んで、俺は監督の顔を見つめた。俺は野球が好きだ、しかしそれはピッチャーというポジションが好きだからでもある。確かに俺は、ピッチャーとして許されないことをした、しかし俺は野球をやるなら、やっぱりピッチャーをやりたい。
だけどその時、何故か由夏の顔が浮かんで来た。もう会うことも出来ないはずのあいつの顔が。
「聡志、本当に君にとって、大切なものは、何?」
そう言う由夏の声が聞こえて来たような気がした。俺は決心した。
「わかりました、よろしくお願いします。」
俺は頭を下げていた。やっぱり俺は野球がやりたい、そして、万が一、由夏と再会出来た時、野球をやってない俺では、ありたくなかったから・・・。
「塩崎さん、本当に申し訳ありませんでした。」
と謝罪すると、その場でユニホ-ムの上着を脱いだ。
「塚原・・・。」
驚く望月を尻目に、俺はこの寒さの中、アンダ-シャツで歩き出した。退部するつもりだった。
しかし、事態はそれだけでは収まらなかった。俺がなぜ、あのような暴挙に出たのか、その動機が当然疑問視され、学校の調査が始まった。
俺は一切の言い訳をしなかったが、望月だけでなく、他の何人かの部員も塩崎の卑劣な行動を証言し、更にそこに至るまでの野球部の実情も、白日の下にさらされることになり、責任を問われた岡田は解任、やがて年度末をもって、ウチの中学からも姿を消した。
俺達生徒は、塩崎と俺は当事者として、3日間の謹慎。他の部員も厳重注意となったが、部の存続は今回はお構いなしという、温情裁定が下った。校長としても、岡田の無責任な行動を放置していた責任を感じたんだろう。
年が明けて、新しい監督の下で、再出発した野球部。だけど、退部届を出した俺には無関係。今回の騒動で、あることないことを言われ、クラスでも孤立した俺は、無気力な毎日を送っていた。
そんな俺を見かねた望月が、新監督と引き合わせてくれた。
「塩崎がな、お前が戻って来ないなら、自分も退部すると言ってきてる。」
「えっ?」
まさか、あの塩崎が・・・。信じられない思いで、俺は監督の顔を見る。が、嘘を言ってるとは思えない。
「お前、野球好きか?」
「はい。」
「こんなことが、あってもか?」
「はい。」
ためらうことなく答える俺。
「なら戻って来い。みんな野球が好きなんだ、お前も俺も、塩崎も。だったら、一緒にやれる。」
「監督・・・。」
「ただし、1つだけ条件がある。お前はピッチャーから外す。」
「えっ?」
「理由はお前が1番よくわかってるはずだ。それでも、よければ、一緒にやろう。」
息を呑んで、俺は監督の顔を見つめた。俺は野球が好きだ、しかしそれはピッチャーというポジションが好きだからでもある。確かに俺は、ピッチャーとして許されないことをした、しかし俺は野球をやるなら、やっぱりピッチャーをやりたい。
だけどその時、何故か由夏の顔が浮かんで来た。もう会うことも出来ないはずのあいつの顔が。
「聡志、本当に君にとって、大切なものは、何?」
そう言う由夏の声が聞こえて来たような気がした。俺は決心した。
「わかりました、よろしくお願いします。」
俺は頭を下げていた。やっぱり俺は野球がやりたい、そして、万が一、由夏と再会出来た時、野球をやってない俺では、ありたくなかったから・・・。