Smile  Again  〜本当の気持ち〜
必要のない奴と話すのは面倒くさい、かつて私に言い放った聡志の言葉は、どうも私を突き放す為だけのものではなく、本心のようだ。


「塚原くんっていつも、そんな感じなの?」


2人が去ったあと、悠は沖田くん達に尋ねる。


「いや。確かに最初はとっつきにくかったけど、打ち解けてみると、ちゃんと話せる奴なんだけどな。」


(そうだよ。聡志は小学生の時は、明るくて、クラスの人気者だったんだから。私には冷たかったけど・・・。)


心の中で私も答える。だから、あの変貌ぶりが私にはわからない。


「でも、あいつも苦労してるからな、キャッチャーとして。」


「白鳥さんをどうリードするかで、頭が一杯なんだよ、今。だから余計に、つっけんどんになっちゃうのかな?」


「でも、この間の試合なんて、だいぶ息が合ってきたように見えたんだけど。」


「うん。白鳥先輩、神奈川大会の時に比べたら、投げやすそうにしてたと思う。」


私達のこの感想に


「2人とも、よく見てるね。でも塚原はまだ、遠慮してるな。」


「相手が先輩、それも実績のあるエースだから、仕方がないんだけど、本来なら、もっと積極的にリードしていかないと。」


と答える沖田くんと神くん。


「塚原はいいキャッチャーだよ、ピッチャー心理も、良くわかってるし。」


(そんなの当然だよ、だって聡志はもともとピッチャーなんだから・・・。)


沖田くんの褒め言葉に、私は複雑な思いになる。
< 50 / 217 >

この作品をシェア

pagetop