Smile  Again  〜本当の気持ち〜
そして、また週末がやって来た。ベスト4のうち、神奈川代表が2校。地元は盛り上がってるけど、揃って春の大会に出られる保証はないと聞いて、私達の応援にも気合いが入る。


準決勝は栃木代表を相手に、白鳥先輩は快刀乱麻のピッチング。打っては松本先輩が3打席連続ホ-ムランで圧勝。私も悠も狂喜乱舞、続く第2試合で東海高が敗れた為、春の甲子園の切符を完全に手中に納めた。


翌日の決勝戦は、群馬代表を破って見事優勝。この日は応援に行けなかった私達は、とっぷり日が暮れた頃に凱旋してきたナイン達を大歓声で出迎えた。


優勝旗を手にした松本キャプテンを先頭に、続々とバスから降りて来る選手達に声援と拍手が送られる。


「これで、来年の春も甲子園に行けるね。」


「うん、楽しみだね。」


悠とそんな話をしていた私の目に、聡志の姿が写った。こんな晴れやかな雰囲気の中、聡志はなぜか、浮かない表情だった。


(一体どうしたの?聡志。)


思わず心の中で問いかけるけど、もちろん聡志に届くはずもない。直接、聡志に話し掛けられないもどかしさ、私は思わず唇をかみしめていた。
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