Smile  Again  〜本当の気持ち〜
グラウンドで行われたお別れ会で、卒業生を代表して挨拶をした村井さんは


「我々の学年は、大したことのない選手の集まりでしたが、偉大な先輩と素晴らしい才能が集った後輩に挟まれてたお陰で夏春甲子園連覇、最後の夏もベスト8と夢のような成績を収めたチームの一員となることが出来ました。私達はこの栄光を胸に、これからも歩んで行きたいと思います。そして、明日からはOBとして、後輩のみなさんに熱いエールを送り続けたいと思います。本日はありがとうございました。」


と言うと俺達に向かって、深々と一礼した。


2年生達がみんな泣いている。キャプテンも白鳥さんも、佐藤さんも、みどりさんも・・・。村井さんは謙遜してたけど、確かにチームの主力は2年生だったかもしれない。


だけど、去年のチームが強かったのは、2年生の力を素直に認め、一歩引きながら、常にバックアップを怠らなかった村井さん達3年生がいたからだ。3年生が後ろに控えていてくれたからこそ、自分達は力一杯戦えた。それを誰よりもキャプテン達がわかっているんだ。


同じ高校生とは、思えないくらい大人だった3年生。彼らの穴は大きいけど、世代交代は高校野球の宿命。あとは俺達が全力を尽くすしかない。


「もうすぐ選抜だな。楽しみにしてるよ、お前達の戦いぶりを。松本達に続いて、力の限り戦え。あとは頼んだぞ。」


わざわざ俺にそう声をかけてくれた村井さん。その瞬間、俺も涙が止まらなくなった。
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