Smile  Again  〜本当の気持ち〜
「ねぇ、岩武さん。」


「せっかく、仲良くなったんだから、もうそんな呼び方止めようよ。悠と由夏でいいじゃない。それに敬語も、もうなしだからね。」


すっかり意気投合した私達。岩武と水木で席がかなり離れちゃってるのが、もどかしいけど、休み時間になれば、どちらからともなく近寄って、話に花を咲かせる。


「じゃ、由夏。今日も放課後、野球部の練習見に行く?」


「もちろん!」


「じゃ、一緒に行こうよ。」


「うん。」


早速、そんな約束を交わした私達は、この後の新入生対象のオリエンテ-ションも当然、隣り合わせに座って、いろいろな話や説明を聞く。


「悠は中学時代、部活は?」


「美術部に入ってた。私スポ-ツがからっきしなんで・・・。」


「なんか、そんな気がする。」


そう言って、笑い合う私達。


「そういう由夏は?」


「バレ-ボ-ル。」


「へぇ、すごいじゃん。じゃあ、高校でもやるの?」


「ウーン。バレーは、もういいかな。期待したより、背も伸びなかったし。」


「じゃ、どうするの?」


「そうだよね・・・。」


オリエンテ-ションでは、部活の案内もあった。各部の勧誘トークやパフォ-マンスを見ながら、私達は話す。


やがてひと際高い歓声が上がる。野球部の登場だ。


舞台に上がったのは、キャプテンさんと松本先輩と松本先輩の同級生でエースの白鳥徹(しらとりとおる)先輩。ちなみに悠はこの人の大ファン。


凄まじい人気だけど、キャ-キャ-言っているのは、女子ばかりで、これじゃ勧誘の用を為さないんじゃないのかな・・・。


「実は、野球部のマネ-ジャ-考えてるんだ・・・。」


一所懸命、野球部のPRをしているキャプテンさんを見ながら、私はポツンとつぶやくように悠に言った。


「本当に?実は私もなんだ。」


悠のその言葉に、私達は思わず、顔を見合わせた。


「本当?じゃ、一緒にやる?」


「うん、いいね。」


私達は盛り上がった。
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