Smile  Again  〜本当の気持ち〜
甲子園に出発するという前日、練習を終えて帰宅すると何やら騒がしい。


「ただいま。」


「お帰り。」


えっ?出迎えてくれたのは、なんと由夏。不覚にも俺の胸は跳ねる。


「ど、どうしたんだよ。」


動揺を隠しながら、問う俺に由夏はまぶしい笑顔で答える。


「お邪魔してるね。今日はこれから、聡志の壮行会するからって、家族でお呼ばれしちゃった。」


「そうか、しょうがねぇな。今度は人をだしに、騒ごうって魂胆か。」


呆れた声を出した俺だけど、内心では感謝している。こっちに戻って来てから、母さんはすっかり元気を取り戻したし、父さんもそんな母さんに安心して、新しい仕事に打ち込んでる。岩武さんのところが、前と変わらぬ付き合いをしてくれてる賜物だと思う。


「とりあえず、着替えてくるわ。」


「早く来なよ。みんな主役の到着を待ってるんだから。お母さん達、いっぱいご馳走、作ってくれたんだよ。私も手伝ったし。」


「それは余計だったな。せっかくのご馳走が台無しになっちまう。」


「それ、どういう意味?」


「そのまんまの意味。」


「言ったな!じゃ、聡志には、何にも食べさせてやんないから。」


ふくれる由夏を尻目に俺は部屋に向かった。


そして、その後の食事会は賑やかな宴になった。その雰囲気につられたように、俺と由夏も少し打ち解けて話をした。なんか、嬉しかった。
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