Smile  Again  〜本当の気持ち〜
宴は尚も続いていたが、準備もあるから、俺は自分の部屋に引き上げた。が、少しするとノックの音が聞こえて来た。


「はい。」


「聡志、入ってもいい?」


えっ、由夏?ちょっと待て。女の子を部屋に入れるなんて、想定したこともないから、なんかヤバイものねぇか?慌てて、周りを見回す俺。すると


「入るよ。」


と、俺が返事してないのに、勝手に入って来ようとするから


「襲われてもいいのかよ。」


バカ、いくら慌ててるとは言え、俺何言っちゃってるんだよ。動揺しまくってる俺に対して、由夏は


「あっちにお父さん達がいて、襲えるものなら襲ってみなよ。」


と全く動じることなく、入って来やがる。


「な〜んだ、焦ってるから、なんかスケベなものでも、散乱してるのかと、思ったけど、結構綺麗じゃん。」


とニヤニヤしながら言う由夏。


「なんの用だよ。」


完全にペースを握られ、悔しい俺はぶっきらぼうに言うけど


「特に用はないけど、久しぶりに聡志と話せたから、もうちょっと話したいと思って。」


ちょっと、お前・・・。


こいつの無自覚も結構罪だぞ。とにかく俺は、今日帰って来てから正直、ドキドキしっ放しなんだぜ。お前はもう俺のことなんか、せいぜい昔の知り合いぐらいにしか思ってねぇから、あっけらかんとしてるけどさ。


もともと由夏は可愛かった。でもあの小学生の頃の可愛さとは、もはや異質、少女から大人の女に変わって行こうとしている可愛さというか美しさというか・・・。


由夏が既に、何人かから告白されてるのも知ってる。松本省吾にのぼせてるうちは、まだ大丈夫だろうけど、こいつが現実に気付き、本当に恋に目覚めてしまったら・・・。


その時は、俺はどうなっちまうんだろう・・・。
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