Smile  Again  〜本当の気持ち〜
白鳥先輩は、翌日から練習に復帰。


「サボってすまなかったな。」


「サボったなんて思ってませんよ。それより大丈夫なんですか?」


「ああ。ちょっと右足首を軽く捻ったみたいで、違和感があったんだ。でも大丈夫。」


「ならよかったです。」


聡志とそんな会話をしてるのを聞いた。


「よかった〜。」


話している先輩の表情は明るく、悠はホッとした様子。私もひと安心。


そして、その日の練習も終わり、私達は、校門で右と左に分かれ、私が駅に向かって歩き出すと


「あの〜、すみません。」


と後ろから男の子の声がする。振り向くと、小走りに追い掛けて来るのは


(仁村くん。)


仁村くんは私に追い付くと、一礼して、こう言った。


「お久しぶりです。」


「えっ?」


「岩武さんですよね?ベアーズの岩武コーチの娘さんの。」


ベアーズと言うのは、私のお父さんがコーチをしていた地元の少年野球チームの名前。


「うん・・・。」


驚いた。仁村くん、私のこと、覚えてたんだ。だって、チームも学校も違うし、私は選手でもなく、当然彼とは言葉を交わしたこともない。


「岩武コ-チには、チ-ムが違うのに、よく声を掛けていただいて。コ-チお元気ですか?」


「うん。もうコ-チは止めちゃったけど。なんて言っても、プレ-経験もないなんちゃってコ-チだから。」


「でもコ-チに『お前、絶対いい選手になるから、頑張れよ』って言われたの、凄く励みになりました。よろしくお伝えください。」


そうか・・・お父さんは本当に仁村くんを買ってたんだな。
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