Smile  Again  〜本当の気持ち〜
放課後、私達は、一目散にグラウンドに向かう。やっぱり、見るからには少しでも、いい場所で見たいもんね。


野球部員達が徐々にグラウンドに姿を現す。松本先輩と白鳥先輩が登場すると、またまた歓声が上がる。やっぱりこの2人の人気は頭抜けてる。


私の視線は松本先輩、悠の視線は白鳥先輩を追う。カッコいいのはもちろんだけど、プレーを見てるだけで心が踊る。やっぱりいいバッターであり、いいピッチャーだな、なんて偉そうに思う。


「ねぇ、悠。」


「うん?」


「マネージャーさんって1人しかいないのかな?」


「そう言えば、昨日も今日も1人しか見えないね。」


あのマネージャーさんは知ってる。確か名前は木本(きもと)みどりさん、この春の選抜のテレビ中継でベンチに入ってるのを見た。やっぱり私達より1つ上の先輩だけど、とても大人びたキレイな人だと思った。


でも、その木本先輩以外の女子マネの姿はグラウンドには見えない。


「もし、そうだとしたら、私達入れるかな?」


「うん、でも競争率高そう。」


あんなカッコいい先輩が居て、なんと言っても夏春甲子園連覇するくらいの有力な部活のマネージャーだもんね。人気は高いかも。


オリエンテーションによると、今日から2週間の体験期間があって、そのあとに入る部活を決めるらしい。


やってみたいな、という気持ちは私の中で、盛り上がって来ていた。
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