Smile Again 〜本当の気持ち〜

去年の俺達の代も近年まれに見る入部数だと言われたけど、今年はそれをも凌ぐ勢い。


更にトピックスとしては、過去2年、みどりさん1人だった女子マネージャー（みどりさんが入部する前は、不在の時期もあったらしい）がなんと3人も入って来た。


こうして新たな顔を加えて、スタートした我々の目標はもちろん、3年連続、春も合わせると5期連続の甲子園出場。去年秋の県大会で、明協に勝ち、関東大会でもベスト4まで進みながら、今春の選抜大会の選考から漏れてしまった東海高校を始めとしたライバル達が


「松本、白鳥達がいる明協を倒して、甲子園出場を果たすことに価値がある。」


とばかりに牙を剥いて来るに違いない。当たり前だが、厳しい戦いになるのは、間違いない。


（やってやろうじゃないの。）


改めて気合を入れた俺は、今ブルペンにいる。明協の弱点の1つである投手の層の薄さ、白鳥徹という絶対的エ－スがいるが故の弱点の克服の為に、必要なのは白鳥さん、沖田に続く人材の確保だったが、ピッチャーの入部者が5人ほどいるのは、明るい材料だ。


それに俺の同期で外野手の尾崎進(おざきすすむ)という奴が、もともとピッチャ－で、既に監督の指示でピッチャ－に復帰して練習をスタ－トしている。


キャッチャ－も俺と道原の他に新入生が2人。急に賑やかになったブルペン陣の夏に向けての目標は、沖田を含む白鳥さん以外の投手のレベルアップ、それしかない。


しかし、そんな中、不思議そうにその光景を眺めてる奴が1人、いや2人か。


「ピッチャ－が足りないって、いいピッチャ－がここにいるじゃないですか。」


仁村司が、無邪気にそんなことを言い出した時、たまたま周りに誰もいなかったからまだよかったが、俺は冷や汗をたっぷりかかされた。