Smile  Again  〜本当の気持ち〜
準決勝は、早めに相手ピッチャ-を攻略した、我が校が優位に試合を進めて、勝利。


この大会も打ちまくって、いよいよこの秋のドラフト最大の目玉候補にのし上がったと言われる松本先輩は、今日も2ホ-ムランを含むヒット4本と大活躍。私達、省吾フリ-クを大喜びさせてくれた。


「ここに来て、エ-ス温存で勝てたのは大きいね。」


この日は沖田くんから尾崎くんのリレ-が見事に決まり、白鳥先輩は出番なし。


「それはそうなんだけど・・・ちょっとつまんない。」


徹フリ-クの悠は、やはりご不満の様子。


「まぁそう言わないで。明日の決勝戦は去年の夏に、我が校に土を付けた埼玉県代表、埼玉青進高校。休養十分の白鳥先輩が、バッチリ去年のリベンジを果たしてくれるよ。」


「そうだね。楽しみだなぁ。」


悠のご機嫌も直ったようだ。


「さぁ、今夜はどうしようか?」


これまでは、試合の度に、地元と大阪をバスで往復していた私達応援団もさすがに、今晩は明日に備えて泊まり。


「本当は選手の顔、見に行きたいよね。」


「ずるいよね、他校の生徒なら大丈夫なのに、私たちはダメなんてさ。」


疲れてる選手達の迷惑にならないよう、選手の家族以外は、宿舎への訪問は禁止。私達は、所詮はミ-ハ-ファンに過ぎないけど、選手と付き合ってる彼女とかは、可哀想だよね。


「仕方ない、悠と2人、大阪の夜を満喫しますか。」


「でも、今回は夕食6時からで、門限8時だってよ。」


「なにそれ?今までと比べて、全然厳しいじゃん。」


「そうだね・・・。じゃ由夏と夜更けまでおしゃべりタイムだ。」


「それしかない!」


明日の勝利を信じ切っていた私達は屈託なく笑い合った。
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